「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」の最終日、首位と1打差の2位タイでスタートした稲見萌寧が8バーディノーボギーの64でプレー。トータル19アンダーまでスコアを伸ばし、逆転で国内メジャー初優勝を飾った。試合の模様を、プロゴルファー・中村修がレポート!

3日目を8バーディ1ボギー、最終日を8バーディノーボギー。決勝ラウンドに入ってからの稲見選手は土日でスコアを「15」伸ばす盤石のゴルフで国内メジャー初優勝、そして2020-21年の統合シーズンの8勝目を飾りました。

距離が長くラフの深いセッティングをものともしない正確なショットでフェアフェイをキープし、ピンを攻め、次々とパットを沈めてスコアを伸ばすゴルフは圧巻でした。

画像: 20-21年シーズン8勝目を国内メジャー初優勝で飾った稲見萌寧(写真は2021年の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 写真/大澤進二)

20-21年シーズン8勝目を国内メジャー初優勝で飾った稲見萌寧(写真は2021年の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 写真/大澤進二)

スタッツを見ると、初日は57.1%だったフェアウェイキープ率が日を追うごとに向上し、2日目は78.5%、3日目は85.7%、最終日は92.8%と尻上がりに調子を上げていることがデータにも表れています。パーオン率も4日間のトータルで3位。ショットの調子の良さにパッティングもかみ合っていたことで、ビッグスコアが生まれました。

最終日最終組はピリピリした空気の中、スコアを伸ばし切れない展開になることを何度も間近で目にしてきましたが、今大会では最終組の稲見、大山志保、西郷真央の3選手がスコアを伸ばし合う展開。そのことで、最後までその手をゆるめなかった稲見選手の強さが際立ちました。

「(稲見選手は)本当にスキがなかった。オンとオフもしっかりあって集中力がすごいなと思いました」とベテランの大山選手に言わしめるほどの内容でした。

画像: 尻上がりにショットの調子を上げ盤石のゴルフで2位に4打差をつけ優勝を手にした(写真は2021年の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 写真/大澤進二)

尻上がりにショットの調子を上げ盤石のゴルフで2位に4打差をつけ優勝を手にした(写真は2021年の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 写真/大澤進二)

稲見選手から初めて話を聞いたのは2019年の5月「リゾートトラストレディス」の練習日でした。当時の彼女は、2018年のプロテストに合格するもQT(予選会)は103位と奮わず、オフの間に奥嶋誠昭コーチに師事しショットを立て直しながら、推薦出場に頼ってツアーに出場していた時期。

そのとき印象的だったのが、回数に制限のある推薦出場を、前半戦に絞っていると教えてくれたことです。前半戦で賞金を稼いで、その後の優先出場権を得られる“リランキング”で上位にいければいいですが、仮にそれができないと後半戦は試合に出られないというリスクを抱える戦略で、気持ちの強さを秘めていると感じていました。

そして、思い描いた通りに前半戦で何度も上位進出を果たし見事にリランキングで出場権を獲得。7月の「センチュリー21レディス」での初優勝へとつながりました。決めたことをやり抜く有言実行タイプはこの頃から変わりません。

その稲見選手が掲げる目標が二桁優勝だといいます。シーズンで言えば2勝、21年に関してはあと3勝ですが、きっと成し遂げるに違いないと思わせるだけのゴルフを見せてもらいました。どこまで勝利数を伸ばせるのか、しっかりと注目していきます。

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