「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」で今季8勝目を飾った稲見萌寧。正確なショットが持ち味のスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

稲見選手は元々ドローヒッターでしたが、2018年のQT(予選会)でショットの調子が悪く、順位的にも奮わなかったことでオフにフェードに持ち球を変えていました。その頃から教わりはじめたのが、現在もコーチを務める奥嶋誠昭コーチです。

ドローが持ち球だったころもショットの正確性が持ち味でしたが、フェードに持ち球を変え磨いてきたことで今ではツアー屈指のショットメーカーに成長してきています。

画像: 今シーズン8勝目を国内メジャー初優勝で飾った稲見萌寧(写真は2021年の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 写真/大澤進二)

今シーズン8勝目を国内メジャー初優勝で飾った稲見萌寧(写真は2021年の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 写真/大澤進二)

持ち球を変えるとなると狙い方やアドレスの立ち方からクラブの軌道やインパクトのフェース向きまで大きく変えることになるので、慣れるまで時間はかかりますが、そこは持ち前の負けず嫌いなメンタルと練習量の多さでフェードボールをものにし現在の活躍につながっています。

その正確なショットを支えるスウィングをじっくり見てみましょう。画像A左のアドレスを見ると、ごくオーソドックスなスクェアグリップで握り、右手をかぶせずに両手の甲が平行になるように構えています。こうすることで適度に両わきが締まりテークバックで腕と体が同調して上がりやすくなります。

画像A右では、前傾した姿勢の通りに左肩が少し下がりながらミゾオチから上の胸を回しながら腕と体が同調してテークバックしていることが見て取れます。

画像: 画像A オーソドックスなスクェアグリップで握り軽く両わきが締まったアドレス(左)から腕と体の動きが同調したテークバック(右)(写真は2021年のヤマハレディース 写真/姉崎正)

画像A オーソドックスなスクェアグリップで握り軽く両わきが締まったアドレス(左)から腕と体の動きが同調したテークバック(右)(写真は2021年のヤマハレディース 写真/姉崎正)

画像B左のトップを見ると、頭の位置がアドレスからキープされ左右への大きな移動はありません。体の回転量に対して腕の高さも比例し、クラブの位置も地面と水平にならないコンパクトなトップです。

そこから切り返した画像B右では左腕とクラブで作る角度が90度くらいであることからいわゆるタメは深くありませんし、下半身の使い方も一気にターゲット方向を向くような積極的な使い方もしていません。このことから飛距離を重視したスウィングではなく、入射角を安定させながら方向性を重視したスウィングであるといえます。

画像: 画像B コンパクトなトップ(左)からダウンではタメを深く作らず、浅く安定した入射角でインパクトへ向かう切り返し(右)(写真は2021年のヤマハレディース 写真/姉崎正)

画像B コンパクトなトップ(左)からダウンではタメを深く作らず、浅く安定した入射角でインパクトへ向かう切り返し(右)(写真は2021年のヤマハレディース 写真/姉崎正)

そして画像Cのインパクト前後ではダウンで作ったタメを一気にリリースするような動きは見られず、おヘソの動きとクラブの動きがリンクしているかのようにボールを運ぶようなインパクトが特徴的です。

右足のかかとも地面にほぼ着いた”ベタ足”も特徴です。「元々、脚を使って打つタイプではないのでベタ足です。でも逆にそれがショットの正確性に結びついている」と奥嶋コーチも話します。

画像: 画像C インパクト前後の動きはおヘソとクラブの動きがリンクするようにボールを運ぶことで再現性の高いインパクトを実現する(写真は2021年のヤマハレディース 写真/姉崎正)

画像C インパクト前後の動きはおヘソとクラブの動きがリンクするようにボールを運ぶことで再現性の高いインパクトを実現する(写真は2021年のヤマハレディース 写真/姉崎正)

「思い描いたラインより3ヤード右に曲がったらシャンク、2ヤード左に曲がったらOB」というくらいの精度を自分に課しているといいますから、常に妥協のない練習を積み重ねていることが以前のコメントからも伝わってきます。この先どれほどの活躍を見せてくれるのでしょうか。22歳の将来が非常に楽しみです。

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