西村優菜と植竹希望の激闘！ “伸ばさなければ勝てない”超ハイレベルな女子ツアーの戦いをプロが現地レポート

台風の影響で第2ラウンドが中止になり、2日間の短期決戦となりましたが、コースコンディションは良好、風も穏やかで予想通り伸ばし合いの展開になりました。

前半は最終組の大里桃子、植竹希望、仲宗根澄香の中で植竹希望が2番から3連続バーディでスコアを伸ばしトーナメントを引っ張ります。一つ前の組では首位と4打差の渋野日向子選手が出だしからバーディチャンスを作りながらも2番と8番のバーディ2つとスコアを伸ばし切れません。するとリーダーボードを駆け上がる最終組から4組前の西村優菜選手が目に留まります。前半で4つのバーディを奪いトータル5アンダーで折り返すと9番から続いての4連続バーディで一気に首位に躍り出ます。

前半は植竹希望選手が2番から3連続バーディでトーナメントを引っ張る展開。そんななか、リーダーボードを一気に駆け上がってきたのが西村優菜選手でした。前半で4つ伸ばすと、9番からは4連続バーディで一気に首位に立ちます。

西村選手のこれまでの鮮やかな逆転劇の2勝を現地で目の当たりにしてきました。私は最終組について歩いていたのですが、後半は西村選手の組みに移動。結果、キレキレのショットにパットも決め、サンデーバックナインに強い西村選手を見せつけられることになりました。

上がり3ホールでも16番パー3ではUTでピン2メートルにつけ、17番でもセカンドをピタリと寄せそれぞれパーとします。そして打ち下ろしで左に深いラフと池、右にバンカーが並ぶ最終18番ホールでは、しっかりとフェアウェイに運んだセカンドをPWで1メートルに寄せてバーディとし10アンダー。クラブハウスリーダーとしてホールアウトします。

一方の最終組の植竹選手も14番でバーディ、15番のパー5ではグリーン周りからUTでアプローチしてチップインバーディを奪い9アンダーへとスコア伸ばします。続く16番の実測189ヤードのパー3でもUTで1.5メートルにつけバーディを奪い10アンダーで西村選手と並びます。17番では2.5メートルにつけたバーディパットは強めに入り惜しくもカップに蹴られパーとし、いよいよ最終ホールへと向かいます。しかし3Wで打ったティショットを左の池に入れ万事休す。ダブルボギーとし、惜しくも2位タイで終えることになりました。

終了後の会見では悔しさをにじませながら「キャディさんに申し訳ないと思いましたね。それまですごい良いアドバイスをしてもらっていたのに、私の技量が足りないのと、精神的なところで（ミスをしてしまった）。初めての経験だったので、1位タイで最終ホールを迎えるのが。そのときに自分がどうなるのかまだ知らない未知の世界だったので対応できてなかったです」と話し、右を狙っていたが右手に力が入って引っかけてしまったミスを二度としないと誓いました。近い将来しっかりと初優勝をつかみ取ってくれることでしょう。

優勝した西村選手は、これだけスコアを伸ばして終えた理由を「7番ティわきにあるリーダーボードを見て2打差か3打差だったので、もしかしたらギアを入れて戦っていけばもしかしたら（優勝も）あるかなと思ってギアを入れました」と話しました。その言葉通りに集中力を高めピンを攻め、パットを決め9アンダーというスコアを叩き出し逆転で優勝を手にしました。

最終組が5ストローク伸ばしても下から9アンダーで逆転する選手が出てくる。それほど今の女子ツアーは層が厚く、レベルの高い選手がそろっていることに改めて驚かされます。

2018年まではシン・ジエ、アン・ソンジュ、テレサ・ルー選手ら外国人選手がツアーのレベルを上げる存在でありましたが、2019年以降は鈴木愛選手や渋野日向子選手を始めとした黄金世代の活躍によってレベルが上がり、その下の稲見萌寧、さらに下の古江彩佳、西村優菜選手らの世代まで引っ張られるように強い選手が現れています。

現在の女子ツアーは、海外からの選手が入ってきてもそう簡単には勝てないツアーになって来ているのではないでしょうか。次週はどんなドラマを見せてくれるのか楽しみはつきませんね。