PGAツアー2021-22シーズン開幕戦「フォーティネット選手権」を制したマックス・ホーマ。優勝につながる大きなヒントは、パトリック・カントレーが会見で語った言葉にあったという。海外ツアー取材歴20年の大泉英子がレポート。

試合でも「普段の自分でいることが大事」

2021〜2022年シーズンのPGAツアーが「フォーティネット選手権」で開幕したが、今季最初のチャンピオンは、今年の2月に「ジェネシスインビテーショナル」で優勝したマックス・ホーマだ。

3日目を終えて、首位のジム・ノーズ、マーベリック・マクニーリーに2打差の3位タイからスタートした彼は、1イーグル、6バーディ、1ボギーの65をマークし、2位のマクニーリーに1打差で優勝。ちなみに妻のレイシーさんの前で優勝したのはツアー3勝のうち、今回が初めてである。フェデックスカップランキングで1位という幸先の良いスタートを切ることができた。

「最高だ。過去、妻の前で優勝したことがなかったから、彼女がいるときは、もう少しいいプレーをするよと約束していたんだよ。今回は緊張はしていたけど、いい緊張感だったし、コントロールもよくできていた。自信もあったよ」

画像: PGAツアー「フォーティネット選手権」を制したマックス・ホーマ(写真/Getty Images)

PGAツアー「フォーティネット選手権」を制したマックス・ホーマ(写真/Getty Images)

ラストシーズンでは、フェデックスカップランキングで35位となり、トップの30人だけが出場できる最終戦「ツアー選手権」まで駒を進めることができなかった。その上、今週開催される「ライダーカップ」にも出場することができず、ホーマはガッカリしていたという。だが、「ガッカリすることは時々あるけど、それが大きなモチベーションとなる」と本人が語っているように、悔しさをバネにシーズン開幕戦でまずは1勝を挙げることができ、憂さ晴らしがうまくできたと言えるだろう。

「ツアー選手権やライダーカップに出られないといっても、たった2週間の話だ。今回、こうして自分のやるべきことができ、優勝できてよかった」

「ラストシーズンの終盤はバーンアウト気味だった」とも語っているが、そんな彼がわずか1〜2週間でここまで変身できたのは、何か要因があるのだろうか? 実は、ラストシーズンのフェデックスカップで総合優勝を果たしたパトリック・カントレーが記者会見で語った言葉に大きなヒントがあったという。

「いつも自分自身でいるようにしている、と彼は会見で語っていた。それを聞いて、“いったい自分は誰なんだ? 普段ゴルフをするときは、たくさん会話しながらゴルフをしているのに、試合になると全然話さなくなる。普段もストイックだけど、たくさん会話はするのに……”だから、(カントレーの言葉通りに)今週はたくさん会話しながらプレーするようにしたんだ」

試合で戦うときも「普段の自分でいることが大事」だ、と気づいたホーマ。「優勝は気まぐれなものであり、最高のプレーをする必要は必ずしもない」とも考えている。自分らしさを失わず、ボギーを叩きながらもベストなプレーを目指すことが大切だと気づいたのだ。

さらに彼のプレーを支える重要な要素に、キャディの存在がある。ジョー・グレイナー氏はホーマの4歳年上で、ホーマが6歳、グレイナー氏が10歳のときからの仲なのだという。2人ともカリフォルニア出身だ。グレイナー氏も、子供の頃は優秀なジュニアゴルファーで、ホーマは彼のゴルフに憧れていた時期もあった。そんなグレイナー氏が現在、ホーマのキャディを務めているが、「彼は天才キャディだ」というように、ホーマの精神面、ヤーデージ、技術を知り尽くし、時に場を和ませるようなことも言いながら、ホーマの優勝に大きく貢献している。

「ジョーがとても助けになった。自分を落ち着けてくれ、ラインを読んだり、ナイスショットの手助けをしてくれたんだ。今日(最終日)は特に僕たちの息はうまく合ってたよ」

「ゴルフの試合はマラソンと同じで、特に日曜日は1日が長い」とホーマ。自分を知り尽くし、精神的にもうまくコントロールしてくれるキャディの存在があったからこそ、いろいろなことが起こり得る大混戦の日曜日に、自分らしく、自分のプレーに集中することができたのだ。2人のコンビのシンクロが今後もうまくいけば、カントレーのように年間で複数回優勝も夢ではない。メンタル面で変身したホーマが、今年はどんなプレーを見せてくれるのか、今後が楽しみである。

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