1位から6位まで「全員トラス」という試合も
人気の発端は、昨年の「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」で優勝した永峰咲希が使用していたこと。アマチュアはプロの使用モデルが気になるものだが、それはプロでも同じこと。調子のいい選手が使うギアが気になる心理に違いはない。
さらに2021年に入って稲見萌寧も使用して勝利を重ねたことがツアーでの人気に火をつけることになった。8月末の「ニトリレディス」では優勝した稲見萌寧から6位の野澤真央までの上位6名全員が「トラス」シリーズのいずれかのモデルを使用していたというからすごい。パターは契約外という選手が多いこともあり、最近のツアーではとにかくトラスの使用プロが目につく。「3人に1人くらいはトラスを使っているイメージです」とツアー関係者が口にするほどだ。
「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」の会場で選手たちのクラブをサポートするテーラーメイドのツアーバスを訪ねてみると、その人気を証明するようにいくつかあるモデルのすべてが欠品中だという。
「どのヘッドも欠品しており、注文も多数入ってるのでいつ渡せるか見通しがつかない状況です」(テーラーメイドツアー担当・鵜野晃行氏)
トラスとは建築物の安定性を高める三角形のトラス構造のこと。その構造をネック部に採用したのがトラスパターだが、そのメリットについて先週原英莉花のキャディを務めたパッティングコーチの橋本真和に聞いてみた。ちなみに、原は先週からトラスシリーズのパターをバッグに入れている。
「芯を外してヒットした際にフェースはローテーションして打ち出しの方向がズレたり、エネルギーロスが起こってショートすることにつながりますが、トラスに関してはそのローテーションとエネルギーロスが非常に少ないという計測データが出ています。1日0.5ストローク変わるだけでも1試合通したら大きな違いになりますからその効果は大きいです」(橋本真和)
従来の大型マレットパターは慣性モーメントを大きくすることで打点のズレによるブレを少なくしているが、その大きさに違和感を覚える人もいる。トラスシリーズの場合はヘッドサイズを大きくせずにその効果を持たせていることで使用率の向上につながっているようだ。
しばらくは「トラス」の流行が続きそうだ。