今季5勝の小祝さくら、同2勝の吉田優利、同1勝の上田桃子の3人は、ツアーコーチ・辻村明志に師事する“チーム辻村”のメンバー。その3人に辻村が帯同して行う練習ラウンドをプロゴルファー・中村修が取材。強さの秘密をレポート!

今シーズン上田桃子選手1勝、小祝さくら選手5勝、吉田優利選手2勝と3人で8勝を挙げるチーム辻村の練習ラウンドについて歩きました。コロナ禍で無観客試合になるとコーチですら試合会場に入れない入場制限があります。そのためツアーコーチがキャディを務める姿が度々見られるようになっています。

プロキャディの仕事を奪うようなことにならないよう最小限の回数にしているという辻村コーチですが、先週私が取材した住友生命Vitalityレディス東海クラシックでは、ちょうどキャディを務めるタイミングでした。

チーム辻村の練習ラウンドでは、選手たちがそれぞれ自分自身のテーマを持ってラウンドしています。スウィングのことはあまり考えずに狙い目や構え方などマネジメントをメインに辻村コーチがチェックしながら進んでいきます。

練習ラウンドでマネジメントに集中できるのには理由があります。試合会場に入る前日までに、前の試合での結果を踏まえ、拠点とする練習場で選手それぞれがしっかりとテーマを持って練習し、改善点を確認できているからなんです。

画像: チーム辻村の上田桃子、小祝さくら、吉田優利の練習ラウンドに密着した(写真は2021年の住友生命レディス東海)

チーム辻村の上田桃子、小祝さくら、吉田優利の練習ラウンドに密着した(写真は2021年の住友生命レディス東海)

とはいえ、練習場でできることと実際にコースのラウンドでできることは違うとも辻村コーチ。コロナ禍で試合に帯同する機会が失われていることで、修正や改善できることも多くはないと言います。

「練習場とコースでは起きていることも違うし、もっとアライメントなど些細な修正で直ることもいっぱいあるんだなと思うんですが、それができないことが歯がゆく感じますね」(辻村)

それだけに、練習ラウンドでは常にターゲットライン後方からアライメントをチェックして、狙い方やマネジメントによるミスをなくし、選手がストレスなくプレーできるように考えているといいます。そこには、ミスの原因をスウィングにあると思い込んでしまうことで悪循環に陥ることを防ぐ、辻村コーチの指導法が垣間見えます。

プロでもアライメントのミスをスウィングのミスと思い込んでしまうことがあるわけですから、アマチュアのみなさんもアライメントのチェックをぜひ行うといいと思います。

画像: コロナ禍で無観客試合においてはコーチも入場制限されため選手のキャディを務めることでコースや試合でのプレーを確認し改善点を見つけるという(写真は2021年の住友生命レディス東海)

コロナ禍で無観客試合においてはコーチも入場制限されため選手のキャディを務めることでコースや試合でのプレーを確認し改善点を見つけるという(写真は2021年の住友生命レディス東海)

「小さいミスの積み重ねで(調子が)悪くなることもあります。選手は『今のもスウィングのせい』と闇に入ってしまうものなんです。そうはさせたくないんです。今はこの調子だけどもこの方向で2週間取り組めば、こういう風になってくるはずだと、試合に出場しながらテーマを探して取り組むようにしてます」(辻村)

画像: スウィングだけじゃない見えない一打を縮めることもコーチとしての仕事と辻村コーチ(写真は2021年の住友生命レディス東海)

スウィングだけじゃない見えない一打を縮めることもコーチとしての仕事と辻村コーチ(写真は2021年の住友生命レディス東海)

9月に入ってから少し波に乗れていない小祝さくら選手のキャディを務めながらの練習ラウンドでしたが、実際にコースで見ると調子に乗り切れない要素が見えたようです。選手の使用ギアについても、実際にコースで試すことでシャフトやヘッドの特性やマッチするかどうかの判断もできてくるといいます。

辻村コーチにとって、練習ラウンドはプレーのなかで選手の修正点、改善点を見つける場という印象です。

「僕はスウィングコーチかもしれませんがスウィングを直すのは当たり前で、スウィングのミスではない目に見えない1打も改善できるはず。そこを見つけることも自分の仕事だと思っています」(辻村)

画像: チーム内では今季15勝目を挙げた実績のある上田桃子の存在も大きく若手二人の成長に一役買っているという(写真は2021年の住友生命レディス東海)

チーム内では今季15勝目を挙げた実績のある上田桃子の存在も大きく若手二人の成長に一役買っているという(写真は2021年の住友生命レディス東海)

それぞれの選手たちについても話を聞きました。チーム内の最年少で今季初優勝から2勝目を挙げた吉田優利選手については、辛抱強くなってきて成長を感じると言います。

「2勝目のあと少し調子を落としていますが、今は我慢して楽しんで取り組んでいます。辛抱強くなったところは成長してるなと感じています。気持ちも強い、勇気もあるのでそれに見合うショット力を身につけさせたいと思っています。長期的に考えないとならないので、本人にもそう伝えて取り組んでいるところです」

小祝選手は高校3年生、吉田選手は高校1年生とほぼ同時期から指導を続けている中で当時を振り返ってもらうと、スウィング、考え方から肉体まで全部の成長が必要ではあったが二人には共通する資質が見られていたと教えてくれました。

「二人とも今、最低限自分ができることをコースでできる選手でした。さくらの良さはリズムやテンポ。優利の良さは勝負根性で、負けん気の強さというのはプロの世界でも面白いなと思っていました。どんなに泥臭いゴルフでもなんとかスコアメイクして上がってきていたので、ただ技術力を上げてあげればよかったんです」

そしてチーム辻村の中で忘れてはならないのが上田桃子選手の存在です。

「二人にとっては姉貴役の桃子がいたことが相当大きかったですね。3人のバランスがとれてそれぞれの選手の成果につながったと思います。2年先にさくらがツアーにデビューして活躍して、さくらの練習の虫というのも相当響いていましたし、優利にとっても努力する仕方が変わってきましたね」(辻村)

ツアーコーチの指導法は様々ありますが、辻村コーチは選手と本音で話し、選手と本気で向き合う熱血指導のコーチだと思います。選手もそれに応えるように練習に励み結果につなげているのがチーム辻村の姿に見えました。ツアーのレベルを上げ世界に通用する選手を育てるチーム辻村と辻村明志コーチに今後も注目していきます。

This article is a sponsored article by
''.