2ボールパターやエッグスプーンといった“変わった形状”なのに大ヒットしたクラブがある。それらをよく見てみると、奇抜に見える形状のなかに“伝統的な形状”が隠されているとギアライター高梨祥明はいう。知ればクラブがもっと好きになる、ゴルフクラブの眺め方講座!

ネオ・マレット「2ボール」に隠された伝統のマレット形状

ゴルフクラブはクラブヘッドの形を大きく変えることで機能性をアップさせてきた。たとえば、ヘッドを大きくすることで慣性モーメントが大きくなり、ミスヒットへの許容性が高まるし、フェースやクラウンを低くすれば深重心化しても低重心をキープできる。

最近では内部ウェートや可変ウェートで重心設計することばかりがクローズアップされるが、ヘッドの重心特性は基本的には、その「カタチ」で決まる。それは今も昔も変わりなく、内部ウェートはそのヘッドの中でさらに精密に重心設計するための手段なのだ。

ヘッドの「カタチ」が重心特性を決めるため、これまで様々な形状のアイデアクラブが生まれ、消えていった。機能的には良かったものの、“異形”、“ヘンテコ”と酷評され歴史の中に埋もれていった意欲作も少なくないのである。

画像: 奇抜なディスクアライメントを定番マレット「ロッシー」を土台に表現した、初代「2ボール」パター(上)。このモデルのヒットでネオ・マレットデザインにゴルファーが慣れていったことが、現在の大型パターデザインの開発につながっている

奇抜なディスクアライメントを定番マレット「ロッシー」を土台に表現した、初代「2ボール」パター(上)。このモデルのヒットでネオ・マレットデザインにゴルファーが慣れていったことが、現在の大型パターデザインの開発につながっている

しかし、なかには前衛的で刺激的なデザインながら、ゴルファーに過度の違和感を持たれずに大ヒットした名クラブも少なからず存在する。ゴルフクラブの眺め方講座では、そのヘンテコなのに成功したゴルフクラブの秘密について、改めて紹介してみたいと思う。

成功例/オデッセイ ホワイトホット2ボール

2001年に「2ボール」パターが発売された当時は、タイガー・ウッズの黄金期。オーソドックスなスコッティ・キャメロン「ニューポート」シリーズがダントツ人気となるなかで、いきなり現れた“ディスクアライメント”に当時のゴルファーは度肝を抜かれた。クラウンに白いボールが2つ並んでいたら、それは違和感を抱いて当然だろう。

しかし、ご存知の通り「2ボール」パターは空前の大ヒットを記録していく。宮里藍などスタープレーヤーに愛されながら、ネオ・マレットという新たなパターカテゴリーを切り開いていったのだ。では、奇抜な「2ボール」パターが多くのゴルファーに受け入れられていった秘密はどこにあるのだろうか? オデッセイで「2ボール」を含む多くのモデルを開発を担当したオースティ・ローリンソン氏は、筆者の行ったインタビューでこんなことを教えてくれた。

「95年くらいから『2ボール』の開発はスタートしましたが、最初は五角形の大きなヘッドデザインだったのです。そのほうが慣性モーメントも大きくなりますし、“ディスクアライメント”も配置しやすいからです。でも、その大きさや構えたときのインパクトは当時のゴルファーには刺激が強すぎて受け入れられないだろうと判断し、なるべく違和感を抱かせない“ディスクアライメント”形状の模索が始まったのです。その答えが当時すでに高い人気を誇っていた『ロッシー』のシェイプを組み込むことでした」(オースティ氏・談)

「2ボール」は、特徴的な“ディスクアライメント”に目が行きがちだが、実はその土台となっているフランジ(カーブしたソールのライン)は、マレットパター「ロッシー」そのもの。オデッセイの開発チームは、先端デザイン(ディスクアライメント)の奇抜さを定番デザインの既視感、安定感で中和することで、見事大ヒットモデルへと導いたのである。

前衛的なデザインながら大ヒットとなったモデルといえば、プロギアの「エッグスプーン」があるが、このモデルにも同じようなデザイン的な配慮がされている。クラウンのフェースに近い膨らみが、ユーティリティの名器「ZOOM C」を彷彿とさせるカタチになっているのだ。変形クラウンという奇抜性がありながら、ツアープロから高い評価を受ける背景には、違和感を持たせないための特別な工夫、ゴルファーへの細やかな配慮があるのである。

画像: 今秋発売のプロギア『エッグスプーン・ブラック』のクラウンも奇抜ではあるが、定番ユーティリティクラブ『ズームC』を彷彿とさせる膨らみがセットアップを助け、大きな安心感を生み出している

今秋発売のプロギア『エッグスプーン・ブラック』のクラウンも奇抜ではあるが、定番ユーティリティクラブ『ズームC』を彷彿とさせる膨らみがセットアップを助け、大きな安心感を生み出している

大ヒットを記録した名クラブには基本形状が決める、打ってハッキリと実感できる優れた機能性がある。そして同時に奇抜さを薄めるデザイン的なひと工夫が必ずある。

撮影/高梨祥明

画像: マネすると自然とクラブがシャローに下りてくる!?メジャー2勝! コリン・モリカワのスウィングをプロが解説 youtu.be

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