「パナソニックオープン」の最終日、アマチュアの中島啓太が永野竜太郎とのプレーオフを制し史上5人目のアマチュア優勝を飾った。プロゴルファー・中村修のレポートをお届け。

中島啓太選手は昨年の「三井住友VISAマスターズ」、今年の「東建ホームメイトカップ」と優勝争いを展開しながらも悔し涙を流してきましたが、その経験を生かし勝ち切りました。

勝因は大きく3つあります。パー3以外のホールすべてでドライバーを握り続けるという自分に課したテーマを貫いたこと。体重計を持ち歩き、トレーニングを積みながら体調管理を徹底してきたこと。そして1イーグル23バーディを奪ったショット力とパッティング。日々の心技体の充実がもたらした勝利だったと思います。

画像: 史上5人目のアマチュア優勝を果たした中島啓太(写真は2021年のパナソニックオープン 写真/大澤進二)

史上5人目のアマチュア優勝を果たした中島啓太(写真は2021年のパナソニックオープン 写真/大澤進二)

8月に世界アマチュア1位に授与される「マコーマックメダル」を金谷拓実選手に続いて受賞したばかりでしたが、「全米アマチュア選手権」を不本意な成績(11オーバーで予選落ち)で終えたことで11月の「アジアアパシフィックマチュア選手権」に目標を再設定し、帰国後の隔離期間で自分自身を見つめ直し、成長できたと話しました。

心技体のうちの心の部分。それが、ナショナルチームのガレス・ジョーンズコーチと決めたパー3以外のホールすべてでドライバーを握るというマネジメントを貫いたことでした。全米アマで、自身が3番アイアンでレイアップするホールで世界アマランク上位の選手がドライバーで攻めていくマネジメントを見て、コーチと相談の上、「なるべくホールに近づけるマネジメント」を試したと言います。

心技体の技ではパッティングの向上が大きかったと感じました。クロスハンドで握りブレードタイプのパターを使うスタイルですが、以前はテークバックよりもフォローの割合が多かったストロークから、切り返しから加速してボールをヒットし、フォロー側が短くなるストロークに変わっています。

そのことによってストロークが安定し、ミスヒットも少なくなり距離感も合うようになったのでしょう。4日間の平均パットでは6位につけるまでに向上しています。

画像: ストロークが改善し1イーグル23バーディを奪い平均パット6位にランクインしたパッティング(写真は2021年のパナソニックオープン 写真/大澤進二)

ストロークが改善し1イーグル23バーディを奪い平均パット6位にランクインしたパッティング(写真は2021年のパナソニックオープン 写真/大澤進二)

そして心技体の体。中島選手は試合中も宿泊先とコースの間にあるジムに通い続けコンディションを整えたといいます。現在大学3年生ですが、1年生のときに盲腸になり落ちた体重を戻すために、体重計を毎日持ち歩いて体重をチェックし始めたそうです。体重、体脂肪、筋肉量などをすべてカレンダーに書いていて崩れないようにチェックしているというから徹底しています。

画像: トーナメント期間中もジムに通い体力も最後まで余裕があった(写真は2021年のパナソニックオープン 写真/大澤進二)

トーナメント期間中もジムに通い体力も最後まで余裕があった(写真は2021年のパナソニックオープン 写真/大澤進二)

2011年に松山英樹選手がアマチュア優勝を飾り、その8年後の2019年には松山選手の大学の後輩で、松山選手の背中を追う金谷拓実選手が優勝。そしてその金谷選手の背中を追いかけた中島選手がついに国内男子ツアーで初優勝を手にしました。

中島選手の次なる目標は11月に開催されるアジアパシフィックアマ。その試合で優勝すると、翌年のマスターズへの出場権が得られます。それは、松山、金谷両選手が歩んできたのと同じ道のりです。

粒ぞろいの若い選手がどんどん表れてきている男子ツアー。ますます目が離せなくなりますね。

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