大会がはじまる前夜ストリッカーはタイガー・ウッズから届いた激励のメッセージをチームのメンバーに披露した。
「本当は彼にここにいてもらいたかったけれど、このアップダウンのきついコースに連れてくることはできない。でもタイガーはいつでもライダーカップファミリーの一員。彼の励ましがチームに力を与えてくれた」(ストリッカー)
ストリッカーは過去の大会でタイガーとペアを組むことが多かった。本来なら副キャプテンに起用するはずの相棒が今回は隣にいない。そんなときだからこそ親友に自分の故郷ウィスコンシンでの勝利を報告したい、という強い思いで挑んだ大会ではルーキー6名のフレッシュなチームが躍動。初日から欧州チームを圧倒し2日目を終え11対5の大量リードで最終日のシングルス戦を迎えた。
するとトップバッターのザンダー・シャウフェレこそロリー・マキロイに敗れたもののパトリック・カントレー、スコッティ・シェフラー、ブライソン・デシャンボー、ダスティン・ジョンソン、ブルックス・ケプカらが相次いで勝利を収め、終わってみれば史上最大差でチーム・ストリッカーが勝ち切った。
表彰式ではこらえていた涙が溢れ「キャプテンをうれし泣きさせるために頑張る」と語っていたメンバーの思いが叶って全員が晴れやかな笑顔になった。
賞金ではなく名誉と威信、そして小さな1つのカップをその手に抱くため男たちが繰り広げた真剣勝負。敗れた欧州チームも最後は全員が一列に並び勝利チームのひとりひとりと握手を交わし抱き合って健闘を称えあった。
アウェイの地で1番のティショットを打った瞬間からブーイングの洗礼を受けたヨーロッパ。シングルスで盛り返すことができず完敗を喫し、ペアマッチで1ポイントも獲れずシングルスでようやく1ポイント稼いだマキロイは「チームに貢献できなかった」と思わず悔し泣き。
「最高のチームだった。キャプテンも選手もここにいるみんなのことが大好きだった。自分にとってライダーカップはどの大会よりも最高のイベント。これで6回目だけれど出るたびに素晴らしさが増してくる。この経験を糧に次回も絶対に戻ってくる」と2年後のローマ大会でのリベンジを誓った。
表彰式の最後にストリッカーが語ったこんな言葉が印象に残る。
「私はメジャーに勝ったことはないけれど、これが私のメジャータイトルだ」