「変化し続けられる」ことが畑岡の凄み
初日は11番ホールのパー3(135ヤード)を8番アイアン。2日目は6番ホールのパー3(180ヤード)を5番アイアンで、それぞれエースを決めた畑岡奈紗。プロコーチ・井上透は「ホールインワンをした上で勝ちをつかんだことを評価したい」とこのように話す。
「ホールインワンを1回するだけでも凄いことなのに、それを2日連続で達成することはピンに対して狙えているというショット力を表しています。だけど、一番は2回ホールインワンした上で勝ちにつながれられたことが凄く評価できると思います。彼女がジュニア時代から積み重ねてきたベースの力があったからこそ、成し遂げられた1勝ではないでしょうか」(井上透、以下同)
では、そんな彼女のアイアンショットの特徴は? 井上は「シンプルで無駄のないスウィングで完成期を迎えている」と続ける。
「ジュニア時代からボールに厚みを加える能力に長けていて、コンパクトなトップからパワーを出す天才といってもいいくらいです。ジュニア時代からゴルフをしていると、クラブを大きく使うオーバースウィングになりがちですが、畑岡選手は野球で培った力強い筋力によってコンパクトなスウィングでも出力が高い球を打つことができているんです。また、ボールの厚みを均一に出すことが得意のため、タテの距離や方向性にも優れていて、世界のトップクラスのショット力を持っている選手だと思っています」
ジュニア時代からの積み重ねがあるからこそ今の畑岡奈紗がいる。このように世界トップクラスまで上り詰めることができたのは「常に進化し続けられる」という畑岡の強みがあったからこそだという。
「全米女子オープンで笹生選手に敗れて2位になった辺りから世界のメジャーをとろうという志(こころざし)がさらに高まったように思います。ジュニア時代を振り返ると、世界ジュニアで初優勝を挙げたときはドローボールで、2勝目はフェードボールでした。これは畑岡選手が『変わる力』に長けていることを示していて、どんな球でも勝ちにつなげていけるゴルフマインドがあると思います」
ジュニア時代から大活躍し、世界のトップ選手となった今も進化を続ける畑岡奈紗。次はどんな進化を見せてくれるのだろうか。