今回、武市が打ち比べるのは、2004年発売の高反発ドライバー「ゼクシオドライバー(3代目)」と、2021年に発売された最新モデル「テーラーメイド SIM2マックス」の2本。それぞれ時代を代表する人気機種で、とくにゼクシオは高反発ブームの火付け役的な存在でアマチュアゴルファーに圧倒的人気を博したクラブだ。
ちなみに今回打つSIM2マックスは武市が普段使っているクラブ。したがって、当然打ち慣れている。対するゼクシオに関しては、武市はこれまで全シリーズ通して一度も打ったことがないという。
“慣れ”という部分がどう影響するかは未知数だが、試打検証前のスペックチェックの段階では「高反発の『3代目ゼクシオ』のほうが飛びそう」だと武市は予想。
「まず飛びに関係するクラブのスペックの比較をするとしましょうか。20年前の当時の高反発クラブの長さはだいたい44インチでしたが、今のクラブは45インチか45.5インチくらいになっています。あとヘッドの大きさもこの20年で大幅に変わりましたね。今は460ccが主流でSIM2マックスも460ccですが、昔は大体420ccくらいと少し小ぶり。3代目ゼクシオは405ccです」
要するに今のクラブのほうが長くてヘッドも大きいということで、スペック面では一見すると飛びそう。「でも振りやすさを考えるとヘッド体積が大きくなると重心距離が長くなるので、振りにくくなる可能性もあるわけですよ」と武市。
「2004年のモデルはヘッドが小ぶりで比較的重心距離が短いし、クラブも短いので振りやすいのは絶対に3代目ゼクシオのほうなんです。クラブが短くて振りやすいとなるとミート率は良くなるわけだから、反発係数が高いということも考えれば、う~ん、3代目ゼクシオのほうが飛びそうな気がするなぁ」
では打つ前に、武市が独自のやり方で「振りやすさ」をチェック。ドライバーのネック辺りを手のひらと指で輪っかを作って持ち、グリップ側を下にした状態でクラブをクルクルと回してはじめた。いったいどのようなことがわかるのだろうか。
「今ね、ヘッドが大きいSIM2マックスのほうを先に回して見ましたが、ちょっと遅いんですよね。後に回したゼクシオは、まあ後に回したので段々と回すのが上手になっちゃったというのもあるんですけど、こっちのほうが良く回りましたね。僕はドローヒッターでアームローテーションが多いタイプなので、ヘッドが回しやすいほうが打ちやすいんです。だからやっぱり今の段階では、僕の予想としては3代目ゼクシオのほうが打ちやすいだろうと思います」
では実際に打ってもらい、それぞれの飛距離を見てみよう。
【SIM2マックス】
1打目276ヤード
2打目283ヤード
【3代目ゼクシオ】
1打目256ヤード(ミスショット)
2打目276ヤード
3打目264ヤード
「SIM2マックスに関してはまあまあ飛距離が出ましたよね。まあね、自分のクラブですから正直、慣れてて振りやすいので、コレくらいの結果にはなります。対して3代目ゼクシオの1打目は正直な話、当たらなくて3球打ちました(笑)。急にクラブが短くなって、初めて打つわけだからそら当たらないよって話ですよ。打った感じは、高反発系らしい『カキーン』という音がしましたね。弾きは良いですよね。でも結果は8ヤードくらいの差で今の最新型のほうが飛ぶという結果になりました」
最後に、高反発に限らず、弾きが良いドライバーを使う時の大事なポイントを武市がアドバイスをしてくれた。
「実は今回打った高反発の『3代目ゼクシオ』のロフトは10度でした。ボールを飛ばすには、ボール初速、打ち出し角度、スピン量で飛距離が決まりますから、高反発などの弾きが良いクラブのロフトが少ないと、僕くらいのヘッドスピードだと球がドロップしやすいからかえって飛ばなくなるんですよね。これがアマチュアの人くらいのヘッドスピードだと適正な初速、打ち出し角度、スピン量が得られるので飛ばせる。アマチュアの方に高反発が人気だったのはこのためです。だから弾きが良いヘッドのクラブであれば、ヘッドスピードに応じてロフトはつけるべきなんです。ちなみに今僕が普段使っているSIM2マックスのロフトは10.5度もあるんですよ。一見ロフトが多すぎると思いますが、今のクラブは反発が良くなっているから10.5度とロフトを多めにして、適正スピンと弾道の高さを出しているわけなんです」