2年に1度、恒例の「ゼクシオ」のマークダウン(※型落ちに伴う値下げ)がスタートしている。値下げされたのは、11代目となる「イレブン」と「エックス」。矢野経済研究所の販売実績を見てみると、他メーカーの現行モデルを遥かに凌駕する勢いで売れているようだ。とくにメンズ、レディースともアイアンの人気が高い。
ドライバー、FW、ユーティリティ、アイアンとどのカテゴリーでも非常に好調に売れているが、過去のマークダウンに比べて数を絞っているためか、それでも以前の7割程度の実績だという。これは、他のメーカーにも共通する傾向で、マークダウン品の数を絞ってブランド価値が陳腐化するのを避け、その分現行モデルに注力するのが、近年の多くのメーカーの考え方だ。
説明するまでもないが、ゼクシオは2000年に誕生して以来、歴代モデルがすべて人気作となり、20年以上に渡って全カテゴリーが売れ続けているブランドだ。世界的に見ても、これだけ長期に渡って大ヒットし続けているブランドは例がない。
「ゼクシオ」は、人口ボリュームの大きい団塊世代前後をターゲットにして生まれた。歴代モデルは彼らの加齢に伴って、徐々により軽く、軟らかい仕様になっていった。功罪はあるが、これによって、ユーザーはかつてのように、変わらずしなやかにスウィングすることが出来るというわけだ。
前作の11代目ではそれに加えて、より若い層の取り込みを狙った「ゼクシオ エックス」との2ライン展開となった。ロゴも変わり、大胆にイメージを刷新したが、メインユーザー層である団塊世代が70代に入り、購買意欲に陰りが見えたためか、11代目「ゼクシオ」は、とくにドライバー領域においてこれまでにない苦戦を強いられた。
ブランド誕生20年を経て、「ゼクシオ」神話にも陰りが見えたかとも思われたが、通常は販売数が伸び悩む2年目でも「ゼクシオ11」は堅調だった。とくにアイアン、そして何よりもレディースモデルが非常に人気で、こと女性用モデルの中では圧倒的なシェアを獲得している。
こうしてみてみると、「ゼクシオ」のユーザー層は他の人気モデルとは少し違うのだなというのがわかる。情報感度が高く、購買意欲も旺盛なギア好きのゴルファーは、様々なモデルを試打して、より良いものを探している。悪く言えば、浮気なユーザーだ。多くのメーカーは、彼らの心をつかむために、様々な努力をしている。
「ゼクシオ」のユーザーは、そのブランドへの信頼感や安心感が強い。20年以上愛され続けている「ゼクシオ」への愛着が簡単には揺らがないし、あまり浮気もしないのだ。2年目でも販売数があまり落ちないのはその現れであり、それがマークダウン品の人気へとつながっている。
これまで通りであれば、マークダウン品が品切れになるころには、12代目の情報も出てくるのではないだろうか。今のうちに安価な「ゼクシオ11」を買うのもよし、12代目に期待して、年末まで待ってみるのもいいだろう。