「日本女子オープン」に出場した「オーガスタナショナル女子アマ」を制したアマチュアの梶谷翼。難コースのセッティングで予選を通過し4日間を戦い抜いた背景には、練習日に取り組んだ“キャリー”への意識があったという。キャディを務めたコーチ・青木翔に話を聞いた。

コーチがキャディするときはどんな目線で務めているのか

「オーガスタナショナル女子アマ」を制した梶谷翼のコーチを務める青木翔。9月29日から開催された日本女子オープンでは、梶谷のキャディとして帯同した。いざ練習ラウンドをしてみると意外なことに気がついたという。

「ヤーデージブックを見て距離を調べたら、(梶谷に)『キャリーで何ヤード打つ』という感覚がなかったんです」(青木)

画像: オーガスタナショナル女子アマを制した梶谷翼が日本女子オープンに出場し4日間を戦いトータル15オーバー63位タイで終えた(写真は2021年の日本女子オープン)

オーガスタナショナル女子アマを制した梶谷翼が日本女子オープンに出場し4日間を戦いトータル15オーバー63位タイで終えた(写真は2021年の日本女子オープン)

一般アマチュアでキャリーを把握していない人は多いが、プロの場合はキャリーの距離を厳密に管理しているもの。梶谷の場合、番手ごとのキャリーの数字を厳密に把握することはせず、感覚だけでプレーしてオーガスタ女子アマに勝っていたというからそのセンスには驚くばかりだ。

しかし、コースセッティングがシビアになるプロの試合ではやはりキャリーの管理は必要。そこで練習場で弾道計測器を使って計測値と梶谷の感覚のすり合わせを行なったところ、驚くべきことが起きた。たとえば梶谷が一球打つと、青木が「今の何ヤード?」と質問、梶谷が「159ヤード!」と答えたあとで計測器をたしかめると……ピタリ159ヤード、ということが起きたのだ。

画像: 練習場で弾道計測器を使って打った感覚と実際のキャリーをすり合わせた(写真は2021年の日本女子オープン)

練習場で弾道計測器を使って打った感覚と実際のキャリーをすり合わせた(写真は2021年の日本女子オープン)

迎えた日本女子オープン。初日、2日目とキャリーを意識して打つようにすることで、初日は「73」(2オーバー)、2日目は「72」(1オーバー)と、トータル3オーバーで見事に予選を通過することができた。3日目、4日目は慣れない思考に疲れも出たようで77・77と崩れトータル15オーバー63位タイで終えた。

「もちろん(オーガスタ女子アマを勝ったことで)結果を出さなければならない立場というのもわかっているんですけど、1番大切なのは今年のプロテストに通ること。そのためにもやらなくてはならないことが彼女の中で明確になってくれたかなと思います」(青木)

梶谷が挑む最終プロテストは約1か月後の11月2日から4日間の日程で開催される。

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