金曜日に悪天候で第2ラウンドが中止になりましたが、最終日はグリーンは硬くスピードも練習ラウンドのときと同じくらいのスピードに戻っていました。傾斜の近くに切られたピン位置に対してランを計算し、ときには手前から、ときにはキャリーでピンデッドに攻略する勝選手のゴルフは見事なプレーでした。
1番、2番とティショットを右に曲げますが、距離の残ったパーパットを連続で決めると、3番ホールからはティショットも安定していきます。安定したショットにパッティングも決まり、危なげない圧巻のプレーで2位以下を6打引き離しメジャー初優勝を手にしました。
優勝会見では、キーになったプレーに出だし2ホールでのパーパットをあげました。
「1番(下りのスライスからフックのライン→右フチ狙い)でパーを取れなければ流れがつかめない。でも構えた瞬間にイメージがよくて、これは入るな。2番(下りのスライス)でも似たような位置で構えた瞬間にイメージもよかった。これで流れに乗れた。私も最初から試練がきたと思いましたし、まさかあんなしびれるパットがくると思わなかった。でもこれを決めれば流れが来るって感じました。そのあとこれくらい残っても入るという自信も持てました」
ボールの後ろに立ってラインを見る際に、カップまでの曲線を描いたり、曲がりの頂点まで直線で描いたりと様々なタイプのイメージの出し方がありますが、勝選手の場合は”線ではなく点”で考えると話しました。点にすることで集中でき、そこに打ち出せるようになるという勝選手のイメージの出し方は参考になる人もいるのではないでしょうか。
実際、1番も2番も、それを外すと一気に流れを手放しそうに感じられるパットでした。日本女子オープンのような大きな試合、ましてや難関ホールが17、18番と上がりホールにあるコースでは、通常上がり3ホールが勝負どころになりますが、今大会は真逆というか、それが1番、2番で訪れたような印象です。1番だけ、2番だけでなく、その両方をきっちりと決め切ったことが勝利につながったと観戦していた私自身も感じました。普段ゴルフをしていると、出だしからマックスで集中するのは難しいものですが、その大事さを痛感します。
勝選手は、オフのトレーニングによって、現在ドライビングディスタンスのランキングで254.71ヤードと、原英莉花選手に次ぐ2位につけています。飛距離を伸ばしたことで、アイアンショットの距離感に戸惑う時期もあったようですが、試合を戦う中で距離を合わせられるようになり、飛距離を生かしたプレーができるようになってきています。
来年の予選会を受け、再来年からは米女子ツアーを目指す意思を表明している勝選手。国内メジャーである日本女子オープンを制したことで、米女子ツアーへの挑戦はよりしやすくなったはず。
近い将来、米ツアーで活躍する勝選手を見るのが楽しみになりそうです。