久常涼選手は、海外の大学に進学する予定がコロナ禍で方向転換を余儀なくされ、昨年のQT(予選回)を受験するも失敗。「今年(2021年)はニートを覚悟していた」といいます。しかし、推薦で出場したAbemaTVツアーで3位に入るとあれよあれよという間に3勝を挙げレギュラーツアー出場の資格を得ました。
久常選手を初めて見たのは「ゴルフパートナープロアマトーナメント」でしたが、振りちぎるような迫力あるドライバーショットの印象が鮮烈で、見ていてワクワクする選手だと感じたのをよく覚えています。
それから数カ月。ブリヂストンオープン練習日の今日は大先輩の谷口徹選手と二人でラウンドしている久常選手のスウィングを間近で見てきました。迫力あるドライバーショットを見てみましょう。
2002年9月生まれの19歳ですが太ももの太さを見ても松山英樹選手を思わせるようながっしりとしたアドレスです。画像Aの左では左腕とクラブがほぼ一直線で右手をわきから添えハンドファーストで打てる構えです。右のトップを見ると左ひざを中に入れ回転量を増やしながらも右ひざは動かさずにしっかりと受け止めています。そのことによってダウンスウィングのスピードを生む力を蓄えていることが見て取れます。
切り返しで下半身は流れずに地面をしっかりと踏みしめています(画像B左)。ここまでは比較的ゆっくりに見え、そこから一気に体を回転させ振り抜いていきます(画像B右)。切り返しでつくった捻転差に、下半身の筋力の強さを生かした地面からの反力も使って大きな飛距離を得ています。
会場となる袖ケ浦CC袖ケ浦Cはホールの両サイドが松林でセパレートされた林間コース。久常選手の飛距離を生かしたいところですが、曲げて林に入るとトラブルになります。ティショットを左に曲げて林に入れると「ここはフェードでいかなあかん」と谷口先生の指導が入ります。
グリーン周りからのアプローチでも自分のクラブを打たせてみたり、打って見せたりと惜しげもなく技術を伝授している様子が見られました。ラウンド後にもアプローチ練習場で指導が入りましたので、谷口選手にも光るものが見えているということではないでしょうか。
レギュラーツアーのグリーンの硬さやスピードに慣れも必要な段階です。大先輩の技術や考え方を吸収しこの先の国内ツアーを引っ張る選手へと成長していくことでしょう。
狭いホールでも振っていく思い切りの良さが持ち味です。無観客試合となってゴルフファンの方が近くで見られないのが残念ですが、機会があればぜひ一度見ていただきたい選手の一人です。レギュラーツアーに昇格した先週の東海クラシックでは早速9位タイで終えています。今週はどんなプレーを見せてくれるのか非常に楽しみです。