「アイアンはキャビティのほうがやさしいとよく聞きますが、ウェッジの場合はそうとも限りません。キャビティアイアンは慣性モーメントが大きいため、芯を外しても曲がらない。だけど、ウェッジのヘッド重量からするとマッスルバックのような小型ヘッドでも慣性モーメントは十分に大きいので、打点のバラツキによる左右へのバラつきはありません。ですので、まずヘッドが大きいからやさしいということは基本的にないんです」(松吉宗之、以下同)
たしかに、アプローチで起きるミスは「左右の曲がり」より「ダフリ」と「トップ」が多いはずだ。だからこそ、松吉は「上下のミスを最小限にするウェッジ選びがオススメ」だという。
「ダフりとトップ、正反対のふたつのミスを意識しているとどちらも出る可能性が高いです。だけど、片方のミスしか出ないとしたらどうでしょうか? ひとつのミスを出さないようにすればいいと考えることができるので、少しだけやさしくなると思いますし、ミスを減らすことが可能になるはずですよね。そして、ダフりにくくするウェッジは存在します」
「トップとダフリ、両方が出ないウェッジ」は存在しない。しかし「ダフりにくいウェッジ」はあるというのだ。その条件はシンプルにふたつ。
「ひとつはソール幅が広いこと。そして、ロフトは『56度まで』がベストです。ソール幅が広いことで芝の上を走りやすいですし、バンカーでも潜りにくいのでダフリのミスにつながりにくい」
ロフトが“寝過ぎていない”こともポイントだ。
「56度は転がして寄せることもカンタンですし、自然と高さも出るいわば『万能ロフト』。高い球を打つ必要があれば58~60度を選ぶことも視野に入れるべきですが、ミスを減らすなら56度です。このようにダフリにくいウェッジを選ぶだけで『ダフるかも』という不安が少しだけ減りますし、迷いもなくなるはずです」
クラブ選びでダフリにくくなる状態を作れたら、意識するポイントも減る。シンプルに打てる分、ミスも少なくなるはずだ。