プロテスト合格を目指す高校3年生。レギュラーツアーで優勝すればそれが免除となるため、優勝しか目指していなかったと言います。
アマチュアの高校生ながら超ハイレベルな女子ツアーで優勝を目指すと明言し、それをほぼ実現した実力は言うまでもなく非凡なものがあります。
私が注目したのは最終日17番ホールでのプレー。手前に切られたピンに対し、セカンドショットが奥のエッジへ。それを寄せきれずに残った2メートルほどのパーパットを落ち着いて沈めた場面です。
外せば「良くてプレーオフ」という状況で、いつもと同じリズムでストロークできた。メンタルはもちろん、たしかな技術を感じました。プレーオフでも敗れはしたもののプロ3人を相手に一歩も引かないプレーぶりは見事の一言でしたよね。
彼女の魅力は大会を通じて1位という飛距離にもあります。そのスウィングを見ると、フェースの開きを抑えたシャット目にクラブを上げ、切り返しでプレーンに乗せると、腕を使わずに体幹の力で振り抜く現代的なスウィングをしています。
しっかりと下半身を踏み込み、そこから迷いなく振り抜けているからこその飛距離ですし、プレーオフの2ホールで見せたように、腕ではなく下半身の力で打つので距離の打ち分けにも優れている。再現性も高い。
私の印象は、女子ならば元世界ランク1位のヤニ・ツェン。男子ならばコリン・モリカワのような思い切りと切れ味の良さを感じました。
プロテストは最終プロテストの20位タイ者までしか合格できない極めて狭き門。ですが、その狭き門を潜り抜けた合格者たちでも、ツアー優勝、あるいはプレーオフを経験できるのはさらに一握りです。そのことからも、佐藤選手の実力は間違いありません。
9月に行われたプロテスト1次予選を2アンダー7位の好成績で通過した佐藤選手。プロ合格まではまだ二次予選、最終プロテストをくぐり抜けなければなりませんが、またぜひレギュラーツアーで見たい選手ですし、必ずや頭角を表してくる選手だと感じました。まずは早くも明日から始まるプロテスト2次予選での健闘を期待したいと思います。
撮影/大澤進二