10月14日から4日間の予定で開催される国内最高峰のトーナメント、第86回の「日本オープンゴルフ」。プロゴルファー・中村修が注目したのは金谷拓実。メルセデス・ベンツトータルポイントで2位につけるスウィングを解説。

17歳の史上最年少で「日本アマ」のタイトルを獲得。ナショナルチームでの経験や学びを生かして世界アマチュアランク1位に立つなどアマチュアとして大活躍し、2020年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で史上4人目のアマチュア優勝を成し遂げ、プロに転向しました。

画像: 今季好調をキープし日本オープンとの相性も良い金谷拓実(写真は2021年のフジサンケイクラシック 写真/岡沢裕行)

今季好調をキープし日本オープンとの相性も良い金谷拓実(写真は2021年のフジサンケイクラシック 写真/岡沢裕行)

2021年は開幕戦の「東建ホームメイトカップ」を制しオリンピック代表を目指して海外転戦を敢行しましたが、残念ながら代表入りはならず。次回のパリ五輪へ持ち越しとなりました。

夏以降は6戦してもっとも悪い順位が16位タイ。4試合でトップ10、3試合でトップ5入りと調子を挙げています。そして迎えた今週、2017年にアマチュアながら池田勇太選手と優勝争いを繰り広げ、昨年も7位で終えるなど相性の良い「日本オープン」の舞台で4勝目(アマ1勝を含む)を目指します。

その金谷選手のゴルフは、9つのスタッツの順位をポイント化したメルセデス・ベンツトータルポイントで2位にランクインするほど高値安定型のプレースタイルです。

平均ストローク1位、平均パット3位、パーキープ率1位、パーオン率5位とショット、パット、アプローチすべてでレベルが高い。唯一、ドライビングディスタンスが46位(286.45ヤード)とランクを落としていますが、飛距離ではなくショットの正確性、メンタル面も含めたゴルフの総合力で戦うのが彼の持ち味と言えます。そのスウィングを、じっくり見ていきましょう。

画像A左のアドレスでは、左手の甲が正面から見えるくらいかぶせたストロンググリップで右手もそれに合わせやや下から握るようにしています。ストロンググリップは体の正面で両手のひらを合わせて2時半くらいの位置まで右に回してからグリップする形になるので、テークバックでフェースを開く動きが入りにくいグリップです。フェースの開閉を少なくできる利点があり、シャットフェースとの相性が良いのですが、金谷選手の場合も腕の動きと体の動きを同調させながらフェースを開かずにテークバックしています(画像A右)

画像: 画像A シャットフェースと相性のいいストロンググリップで握りからと腕の動きを同調させてテークバックする(写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

画像A シャットフェースと相性のいいストロンググリップで握りからと腕の動きを同調させてテークバックする(写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

画像B左のトップでも、フェースの向きは空を向いていて、シャットな状態がキープされています。背中はしっかりとターゲットに向けられ、深いトップがつくられています。

写真ではわかりにくいですが、切り返しに独特の”間”があるのも金谷選手の特徴。それによりスウィングのテンポは優勝争いの中でも非常に安定しています。

画像B右の画像を見るとアドレスと同じグリップの形でインパクトしていることが見て取れます。フェースの開閉をおさえた方向性に優れた使い方をしていますし、腕でタメを作りボールにぶつけるような動きは見られず体幹の回転でクラブを振っているので、入射角やスピン量も安定しています。

画像: 画像B トップでもフェースの向きは空を向くシャットフェース(左)、アドレスと同じグリップの向きでインパクトしフェースのコントロール性は抜群(写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

画像B トップでもフェースの向きは空を向くシャットフェース(左)、アドレスと同じグリップの向きでインパクトしフェースのコントロール性は抜群(写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

例年「日本オープン」のコースセッティングは日本オープン3勝目を狙う昨年王者の稲森佑貴選手が得意とするように、ラフが深くフェアウェイキープが上位進出のカギになっています。同じようなプレースタイルの金谷選手にとっても相性の良い大会ですから大いに活躍に期待できるのではないでしょうか。現在賞金ランクは4位。賞金王獲得ももちろん十分に可能性があります。

とはいえ、日本オープンの複数年シードはどの選手にとってものどから手が出るほど欲しいもの。今季好調な木下稜介選手、星野陸也選手らも全力で狙いにくるでしょうし、アマチュア優勝を遂げた中島啓太選手、河本力選手らのアマチュア勢も虎視眈々と上位を伺っているはず。初日から目が離せない大会になりそうです。

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