「バンカーやラフからの脱出で使うウェッジはフェースとボールの間に砂や土が挟まりやすいため、フェース面の負担も大きいです。そのため、他のクラブよりも替える頻度が多くなります。アマチュアゴルファーの方の目安としてはフェース面が擦れて傷ついてきたら替え時ではありますが、買い換える必要がないケースもあります」(松吉宗之、以下同)
様々な状況で使用することが多いウェッジはピンに近づける役割を持つクラブ。重要となるのがスピン性能でフェース面の溝がそれを支えている。しかし、溝がヘタった=替え時というわけではないのは、「溝がスピン性能に関係しているのはある一定のエリアのことだから」と松吉。
「フルショットの場合、ボールが潰れることでスピンがかかるので、ショットの能力。また、20ヤード以内と短い距離のアプローチはボールのどこに刃先を入れるかによってスピンがかかるか否かが決まります。ビリヤードのバックスピンをかけるイメージと一緒ですね」
つまり、ウェッジのフルショットとグリーン周りからのアプローチは溝によってスピンがかかるわけではないということだ。では、フェース面の溝によってスピンが効くのは一体どんなときか?
「たとえばフルショットが100ヤードとしたら、30~50ヤードはボール自体は潰れないものの、カバーは潰れます。そのため、溝の状況によってスピンがかかるか、かからないのかが変わってきます。こういった中間距離のスピン性能を重要視しているから、プロは数試合で替えるというケースもあるのです」
アマチュアゴルファーも同様に中間距離のスピン性能を重要視しているのであれば「1シーズンで替えることを勧める」そうだ。ただ、アマチュアの場合そこまで気にする必要はない。
「どのクラブも同じですが、練習することで手に馴染んできたものを手放すのは簡単にできないことだと思います。同じウェッジを探しても同じ感覚で振れないこともある。クラブは使っていて楽しいものが一番ですから、溝が傷ついたからといって交換しなくていいと思います。もちろん試合でスピン性能を重視したい場合は別ですが、楽しくゴルフしたいゴルファーにとっては長く使い続けるほうがどんどん手と同じ感覚でスウィングできるかもしれませんね」
フレッシュな溝は中間距離でのスピンを約束してくれるが、さりとて手に馴染んだ使いやすさも大切だ。松吉の意見、ぜひ参考にしてみはいかがだろうか?