日本で開催されるPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」に参戦の今田竜二。かつて単身で世界に挑み、結果を出した今田が現在使用するクラブに、トレンドウォッチャー・コヤマカズヒロが注目した。

ZOZOチャンピオンシップ2021がいよいよ開幕。PGAツアーとJGTOツアーの選手が混交する今回の出場選手の中で、異色の経歴を持つのが今田竜二だ。

最近ゴルフを始めた人は、今田のことをよく知らないかもしれない。14歳のときに単身で渡米し、アメリカでジュニアゴルファーとして活躍。全米アマチュアランキングで、タイガー・ウッズに次ぐ2位になったこともある。大学2年のときに出場した全米大学ゴルフでは個人戦2位。そのときに優勝者はその後、史上初の米欧同時賞金王という快挙を成し遂げたルーク・ドナルドだった。

画像: 今週末開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」に出場する今田竜二。PGAツアーへの出場は2015年以来となる(写真は2016年の長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント)

今週末開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」に出場する今田竜二。PGAツアーへの出場は2015年以来となる(写真は2016年の長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント)

プロ転向後は、ネーションワイドツアーで2勝をあげたのち、PGAツアーにステップアップし、2008年にはAT&Tクラシックで初優勝。青木功、丸山茂樹に次ぐ、日本人選手として3人目のPGAツアー優勝者となった。後年の松山英樹、小平智も含め、他のPGAツアー優勝を果たした日本人選手たちと異なり、日本ツアーでの実績を持たずにPGAツアーで活躍した、今のところ唯一の選手なのだ。

今田は広島県三原市出身。筆者はそのとなりの街に住んでいたのだが、10代のうちに単身渡米するなど、広島の田舎ではまったくの常識外のことだ。当時はブラジルでプロのサッカー選手になった三浦知良の存在が知られるようになっていた頃だが、ゴルフではそうした話はほとんど聞かれなかった。ゴルフ留学は存在していたのだが、多くの場合は二十歳前後の選手を対象にしていた。その困難さ、心細さを思い、年齢が近いこともあって、個人的にもずっと尊敬の念を抱いていた。

今田のプレースタイルは派手ではないものの、ピンチでも諦めずにパーを重ね、リズムを作っていく。厳しい状況でも静かに闘志を燃やすタイプで、メンタル面の強さは日本人離れしている。そしてそれを支えるのが、天才的なアプローチの冴えだ。特に魔法のようなロブショットは、常人には理解不能レベルにすごいテクニックで、驚くような寄せを見せる。2010年前後の最盛期、今田は間違いなくPGAツアーでも屈指のウェッジプレーヤーだった。

その後、ケガの影響もあり成績は下降していくが、2010年のウェッジの溝規制にも小さくない影響があったのではないだろうか。それ以前にルールで認められていた、いわゆる角溝と呼ばれる鋭利な溝は、厳しい状況でのショートアプローチほどスピン性能の差がでる。達人級にアプローチが上手い今田だけに、道具の性能が大きく変わったことに、他の選手以上にスイッチに苦労したのではないかと推測される。

練習日での情報によると、クラブの選択も面白い。

アメリカ育ちで現在も彼の地に拠点を持つ今田だが、アイアンは「プロトコンセプト C01」というマッスルバック。ウェッジは日本ツアーにも使用者の多い「ジューシー」と、まだそれほど知名度のない日本の新興メーカーのクラブをチョイスしているようだ。

画像: 今田の現在の使用アイアンはプロトコンセプトが手掛ける「C01」。素材の段階で軟鉄にチタンを埋め込んで鍛造する特殊な製法を採用したモデルだ

今田の現在の使用アイアンはプロトコンセプトが手掛ける「C01」。素材の段階で軟鉄にチタンを埋め込んで鍛造する特殊な製法を採用したモデルだ

ドライバーはテーラーメイドだが、FWにはなんとゴルフパートナーの「ネクスジェン ジェットブラック」というモデルを使っているという。本戦で今田がどんなクラブを使っているか、興味のあるファンは是非チェックしてみて欲しい。

今回の推薦は、PGAツアーのリスペクトを示すものだと思う。試合からはかなり遠ざかっている今田だが、出場を決めたのはおそらくそれなりの手応えがあってのことだろう。上位進出は難しいかもしれないが、かつての奇跡的なアプローチの美技が見られるはずだ。本戦では、ぜひ注目して欲しい選手だ。

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