20年シーズンから好調を持続し、賞金ランキングのトップを走る稲見萌寧選手。彼女のスウィングの特徴は、軸の左右動、重心の上下動を抑え、その場で回転してボールを丁寧にとらえるところにあります。
近年、ツアーでは、体(とくに下半身のモーション)を大きく使い、いわゆる地面反力を利用してパワーを引き出す選手が増えています。しかし、稲見選手には、そういう部分が比較的少ないのです。
どちらかというと、体は安定させるために使って、クラブの自然な動きを重視して打つ。イ・ボミ選手やキム・ハヌル選手のようなワンピーススウィングと言えるでしょう。
たとえば、ダウンスウィングの左脚に注目してください。稲見選手の左ひざは、アドレス時とほぼ同じ角度にキープされていることがわかります。地面反力を積極的に使う選手であれば、切り返しで大きく沈み込み(左ひざを曲げ)、インパクトにかけて左脚を伸ばしていくのですが、彼女にそこまでの動きは見られません。
もちろん稲見選手も、インパクトからフォローにかけて左脚を伸ばしていくので、反力をまったく使っていないわけではないのですが、その程度は小さいのです。
基本的に、アマチュアゴルファーの場合、体を大きく使うほどミート率が下がる傾向があります。ですから、稲見選手のように、重心の上下動を抑えて、頭や骨盤のポジションを安定させた動きは、とても参考になると思います。
次に、クラブの動きに注目してみましょう。飛球線後方から見ると、ダウンスウィングでクラブが下りてくる角度と、フォローでクラブが抜けていく角度が、ほぼ一致していることがわかります。
この2つのポジションの対称性は、クラブがインサイドインの軌道を描いて、クラブが行きたい方向に動いている証拠です。フォローのフェースの向きを見ても、クラブのねじれは少なく、コントロール性の高さが感じられます。
ちなみに、インサイドアウトの軌道であれば、ダウンよりもフォローのほうがクラブは上に抜け、アウトサイドインの軌道であれば、ダウンよりもフォローのほうがクラブは下に抜けていきます。
このダウンとフォローの差が大きくなるほど、コントロール性が落ちてくるので、みなさんも一度チェックしてみてはいかがでしょう?