高校を中退してプロの道を歩んだ池村寛世選手は、前半を1バーディ1ボギーで折り返すとサンデーバックナインで6つのバーディを奪い、3日目を終えて首位に立っていた同じく初優勝を狙う植竹勇太選手を一気に抜き去りました。5打差をひっくり返しての初優勝は26歳の池村選手にとって大きな自信となったことでしょう。
池村寛世選手といえばティーアップせずに地面に直接置いたボールをドライバーで打つ「直ドラ」、と言われるほど、ティーショットでもパー5の2打目でもドライバーを多用するプレースタイルが有名です。直ドラは狭いホールや強い風、ホールロケーションによって左を警戒する際に使用していますが、球の上がらない直ドラでも280から290ヤードの飛距離だといいますから、スウィングがしっかりしていることの証でしょう。ではそのスウィングをじっくり見てみましょう。
画像Aの左ではオーソドックスなスクェアグリップで握り、ドローヒッターの場合は右肩を下げボールを右から覗き込むような姿勢になるのが一般的ですが、持ち球がフェードだという池村選手は背骨を右にあまり傾けないフェードヒッターのアドレスをとります。体の中心に軸を置き、肩のラインは90度以上回る深い捻転でエネルギーを溜めこみます(画像右)。
池村選手は、ボールの先でヘッドスピードが最大になるように振っている、と話す通りトップからゆっくりと切り返すと体を左に流さずに、右サイドに残したままダウンスウィングに入ります(画像B左)。そのことによってスウィングアークのフォロー側が長く大きくなり大きな飛距離へとつながっています。9月頃から調子が上がってきたということでしたので、この画像のときよりももう少しシャロ―に、浅い入射角でヘッドを入れられるようになり、ショットが安定してきたのだと思います。
クラブセッティングも独特で、ドライバーの次は3Wを入れずにアイアン型UTの2番と3番を入れ、アイアンは4番~PW、49度、54度、59度とウェッジ4本体制という下を厚くしたセッティング。3日目にはパー5を直ドラで2オンし、最終日も3回ティーショットで直ドラを使ったといいますから3Wを入れずとも自分のプレースタイルに合わせたセッティングなのでしょうね。
スウィングをアップデートしながら自分のプレースタイルを貫きサンデーバックナインで爆発し初優勝を手にした池村選手。自信を深めたこれからのプレーに注目していきましょう。