「ISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント」で初優勝を挙げた池村寛世。166センチと小柄ながら豪快で曲がらないスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

高校を中退してプロの道を歩んだ池村寛世選手は、前半を1バーディ1ボギーで折り返すとサンデーバックナインで6つのバーディを奪い、3日目を終えて首位に立っていた同じく初優勝を狙う植竹勇太選手を一気に抜き去りました。5打差をひっくり返しての初優勝は26歳の池村選手にとって大きな自信となったことでしょう。

画像: 国内男子ツアー「ISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント」を制した池村寛世(写真は2021年のISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント 写真/姉崎正)

国内男子ツアー「ISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント」を制した池村寛世(写真は2021年のISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント 写真/姉崎正)

池村寛世選手といえばティーアップせずに地面に直接置いたボールをドライバーで打つ「直ドラ」、と言われるほど、ティーショットでもパー5の2打目でもドライバーを多用するプレースタイルが有名です。直ドラは狭いホールや強い風、ホールロケーションによって左を警戒する際に使用していますが、球の上がらない直ドラでも280から290ヤードの飛距離だといいますから、スウィングがしっかりしていることの証でしょう。ではそのスウィングをじっくり見てみましょう。

画像Aの左ではオーソドックスなスクェアグリップで握り、ドローヒッターの場合は右肩を下げボールを右から覗き込むような姿勢になるのが一般的ですが、持ち球がフェードだという池村選手は背骨を右にあまり傾けないフェードヒッターのアドレスをとります。体の中心に軸を置き、肩のラインは90度以上回る深い捻転でエネルギーを溜めこみます(画像右)。

画像: 画像A 上半身を右サイドに傾け過ぎず体の中心に軸を置いて構え、トップでは両肩のラインが90度以上回るほど深い捻転を作っている(写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

画像A 上半身を右サイドに傾け過ぎず体の中心に軸を置いて構え、トップでは両肩のラインが90度以上回るほど深い捻転を作っている(写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

池村選手は、ボールの先でヘッドスピードが最大になるように振っている、と話す通りトップからゆっくりと切り返すと体を左に流さずに、右サイドに残したままダウンスウィングに入ります(画像B左)。そのことによってスウィングアークのフォロー側が長く大きくなり大きな飛距離へとつながっています。9月頃から調子が上がってきたということでしたので、この画像のときよりももう少しシャロ―に、浅い入射角でヘッドを入れられるようになり、ショットが安定してきたのだと思います。

画像: 画像B 切り返し以降も体を右サイドに残しながらクラブを下ろすことで、フォローがより大きくなり飛距離アップにつながっている(写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

画像B 切り返し以降も体を右サイドに残しながらクラブを下ろすことで、フォローがより大きくなり飛距離アップにつながっている(写真は2021年の関西オープン 写真/岡沢裕行)

クラブセッティングも独特で、ドライバーの次は3Wを入れずにアイアン型UTの2番と3番を入れ、アイアンは4番~PW、49度、54度、59度とウェッジ4本体制という下を厚くしたセッティング。3日目にはパー5を直ドラで2オンし、最終日も3回ティーショットで直ドラを使ったといいますから3Wを入れずとも自分のプレースタイルに合わせたセッティングなのでしょうね。

画像: 3番ウッドを採用せず、直ドラを使いこなして対応。アイアン型UTを2本入れ、ウェッジも4本体制と、セッティングも面白い(写真は2021年のISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント 写真/姉崎正)

3番ウッドを採用せず、直ドラを使いこなして対応。アイアン型UTを2本入れ、ウェッジも4本体制と、セッティングも面白い(写真は2021年のISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント 写真/姉崎正)

スウィングをアップデートしながら自分のプレースタイルを貫きサンデーバックナインで爆発し初優勝を手にした池村選手。自信を深めたこれからのプレーに注目していきましょう。

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