ブランド登場から22年。ゼクシオ12代目となる「ゼクシオ12」、「ゼクシオX」ドライバーが発表になった。松山英樹の使用する「スリクソン ZX7/ZX5」に搭載された「リバウンドフレーム」を今回は「ゼクシオ」として初採用。軟→剛→軟→剛とボディ剛性を交互に変化させることで、大きなたわみを生む構造だ。ゼクシオの大きな特徴であるカップフェースも継続している。
そして、キーテクノロジーとなるのが、“飛びの翼”と銘打たれた「アクティブウィング」だ。ヘッド上部ヒール寄りに設置された突起が、ダウンスウィング中の空力をコントロールし、遠心力が引き起こす悪影響を軽減するという機能で、ヘッドのブレが抑えられることで打点が安定し、適正なフェース角に導くことで飛距離と方向性が向上するという。
近年は、テーラーメイド「SIM」やキャロウェイ「マーベリック」のシリーズで、空力に着目したドライバーが登場していた。「ゼクシオ」もいよいよ空力に着目したかと、単純にとらえてはいけない。過去の「ゼクシオ」を見てみると、今回の新しいテクノロジーの意図も見えてくる。
「ゼクシオ」は2000年に誕生し、2年周期で新モデルが発売されている。初代モデルのヘッド体積は305cc。その後、代を重ねるごとにヘッドは大きくなっていき、5代目となる「ザ・ゼクシオ」(2008年モデル)に至って、現代と同サイズの460ccとなる。
この「ザ・ゼクシオ」が現代に連なる「ゼクシオ」のイメージを形作る上で、大きな貢献をしている。ボールが上がりやすくキャリーで飛ばせて、つかまりが良く、軽量で軟らかなシャフトながらしなやかさを持ち、高い金属音が心地よいという、我々が思い浮かべる「ゼクシオ」のイメージを確立したのが、5代目「ザ・ゼクシオ」だ。ヘッド体積が460cc、長さは45.75インチというスペックは、のちのモデルとほぼ変わらない。ある意味、クラブとしての「ゼクシオ」の機能が完成されたモデルだということもできるのだ。
では、それ以降「ゼクシオ」はどのような進化を遂げたのだろうか。それは単にクラブの物理的性能を向上するだけでなく、ゴルファーのスウィングがよくなるように促す機能を追求するようになったということだ。
7代目となる「ゼクシオ セブン」ではシャフト長を短くすることで振り切りやすさを追求し、2年後の「ゼクシオ エイト」では、スウィング慣性モーメントを小さくするというコンセプトで、グリップを10グラム、シャフトを1グラム軽量化して、クラブスピードを上げる試みを行っている。
「ゼクシオ ナイン」では、自然とタメができやすいという機能を、「ゼクシオ テン」では芯でとらえやすいという機能を搭載した。わかりやすい例は前作の「ゼクシオ イレブン」だ。グリップに重量を課す「ウェイトプラステクノロジー」を採用し、安定して良いトップ位置が作りやすいという「飛びのパワーポジション」を生む機能を搭載した。
つまり、近年の「ゼクシオ」は、タメを作りやすくしたり、芯で捉えやすくしたり、理想のトップを作りやすくしたりする機能で、ユーザーがより良いスウィングになるように促しているのだ。そう考えると、「ゼクシオ12」に採用された「アクティブウィング」の意味も見えてくる。ミスショットやパワーロスの原因になる、ダウンスウィングでのヘッド軌道のブレを抑制することで、ゴルファーのスウィングを良くすることを狙っているのだ。
「ゼクシオ」のこの特徴を見ると、深低重心化で慣性モーメントを大きくして許容性を向上したり、低スピン化を狙ったりと、物理性能を追求する近年のドライバー事情とかなり違う発想で開発を行っているのがわかる。グローバルに展開する海外メーカーのドライバー隆盛の中で、「ゼクシオ」がヒットし続けている理由はこのあたりにありそうだ。興味のある方は、ぜひこの新たな機能を体感してみて欲しい。