今季の青木選手はキャリアハイの賞金ランク21位(11月10日現在)を記録していますが、じつは21年の開幕前には引退をも考えていたといいます。若手の台頭やコースセッティングの変化もあり予選通過ラインが上がり予選落ちが多くなっていました。飛距離217.29ヤード(11月10日現在)とシード選手の中ではもっとも飛ばないというプレースタイルもそう思ってしまう要因になったようです。
しかし、初優勝が短縮競技であったこともあり競技日程をまっとうし優勝したいとの思いで一念発起すると、コーチ兼キャディを務める大西翔太氏や周囲のサポートもあり見事に「宮里藍サントリーレディス」の4日間競技で2勝目を手にしました。そして初の海外メジャー「AIG全英女子オープン」にも出場し大きな刺激を受けたと話します。練習ラウンドでは同じような飛距離の朴仁妃と一緒にプレーし改めて自分のプレースタイルを明確に意識することができたといいます。
青木選手のプレースタイルは、フェアフェイを外さないドライバー、FWやUTを駆使したパー3のティーショットやパー4のセカンドショット、グリーンを外しても簡単にはボギーを打たないアプローチとパットと、飛距離のなさをカバーする正確性とショートゲームに支えられています。特に先週の「TOTOジャパンクラシック」の最終日では8バーディ1ボギーの7アンダーと3日目終了時の29位タイから一気に4位タイへとジャンプアップして終えました。それでは正確無比なドライバーをじっくり見てみましょう。
画像Aの左では、オーソドックスなスクエアグリップで握り、下半身でどっしりと構え、ティーの高さはやや高め。頭と体のの中心をボールよりも右に置きアッパー軌道でボールをとらえる準備が整っています。頭の位置は少し右に動きますが、上体を右に振るというよりも背骨を軸に縦にねじるようにテークバックすることで軸がキープされ再現性の高さにつながっています。
そして、高いトップから切り返しの間を作りながら左へは突っ込まずにダウンスウィングに入ることでクラブを正しいプレーンに乗せ、インサイドからアッパー軌道でボールをとらえ、打ち出し角を確保しスピン量を増やさない様子が見て取れます(画像B左)。インサイドアッパーの軌道が強くなり過ぎると左へのミスが起こりやすくなりますが、インパクト前後のフェースの向きに注目するとフェース開閉の動きが少ないことで方向性を確保し再現性の高いスウィングをになっています(画像B右)。
先週の好調の理由を大西翔太コーチに聞くと「富士通レディースから投入した新しいドライバーがなじんできて飛距離を伸ばせたこと、アドレスの向きをもう一度見直して打ち出し方向と振っていく方向のズレを修正できたことが大きかったですね」と新ドライバー「ゼクシオX」のアピールも忘れませんでした。
今季はもう1勝を目標にここまで戦って来ていますので、ツアーの中で最も好きなコースの一つだという今週の「伊藤園レディス」は期待が持てるのではないでしょうか。飛ばない青木選手がどういったプレーをするのか注目してみたいと思います。