“飛ばしの雑巾王子”こと武市悦宏プロが、ゴルフ界で囁かれる「コレって本当?」といわれる仮説にズバッと斬り込み検証! 今回は、グローブの素材や気候条件の違いによって飛距離や使い心地がどの程度変わるのかを確かめた。

自分の体とゴルフクラブの唯一の接点である手に装着し、滑り止めの役目を果たすのがグローブ。素材によって、天然皮革、合成皮革、人工皮革と大きく3つに分かれ、装着感やグリップ感も変わってくるため、グローブ選びはプレーフィールにも少なからず影響を及ぼしてくるモノだ。

では実際のところグローブの素材の違いによってパフォーマンスにはどの程度影響が出るのか、武市プロにさっそく検証を行ってもらった。

画像: 検証に使用するグローブはスリクソンに統一。天然皮革(羊革)の「GGG-S027」(右)、甲側は合成皮革、掌側はポリエステル・複合繊維で仕上げた「GGG-S028」(中)、天然皮革に近い風合いの人工皮革クラリーノを採用した「GGG-S029」(左)の計3種

検証に使用するグローブはスリクソンに統一。天然皮革(羊革)の「GGG-S027」(右)、甲側は合成皮革、掌側はポリエステル・複合繊維で仕上げた「GGG-S028」(中)、天然皮革に近い風合いの人工皮革クラリーノを採用した「GGG-S029」(左)の計3種

検証前の事前予想では「僕は普段から革のグローブが好きで、ぶっちゃけ革のほうが飛ぶと思っています」と武市。その理由は密着感のよさにあるという。

「ダウンスウィングに入る切り返しのときに左手のグリップを少し掌側に回す。この動きが飛距離を生むポイントなんですが、それをやるときに手とグリップが密着していないとできないんですよ。だから密着感はかなり気にしますね。その点、天然皮革は密着感が全然違いますから」(武市、以下同)

まずは気温19度、湿度42パーセントの状況下で検証。最初に人工皮革グローブを装着した武市は「装着感は僕にはちょっと厚めかなと感じます」とのこと。ではさっそく飛距離のデータを見ていこう。

画像: グローブの素材の違いでフィーリングはどの程度変わり、スウィングの結果に影響を及ぼすのか。室内気温19度、湿度46%の環境下でテストしてもらった

グローブの素材の違いでフィーリングはどの程度変わり、スウィングの結果に影響を及ぼすのか。室内気温19度、湿度46%の環境下でテストしてもらった

【人工皮革グローブ装着時の飛距離】
1球目:総飛距離224.0ヤード
2球目:総飛距離254.0ヤード

1球目と2球目では実に30ヤードも飛距離の差が出ているが、これには「グローブへの『慣れ』が影響してますね」と武市。

画像: グローブを付け替えながら、試打データを取りつつ検証を進める武市

グローブを付け替えながら、試打データを取りつつ検証を進める武市

「僕は切り返しのときに滑るのが嫌なのですが、このグローブの厚さはその点でちょっと違和感があって、それで1発目は飛距離が出ませんでしたね。ただ、2発目にはその厚さにも慣れたので、30ヤードも飛距離が伸びました」

いっぽうで「人それぞれ好みはありますが」と前置きしつつ、素材の“しっかり感”ゆえか「グリップもしっかりと握ってしまう感じがあって、スウィングに若干力みが入ってしまうかなぁ」と武市。

「ただこのグローブに関して言えば、パッケージに『衝撃吸収』とキャッチが書いてあった通り、たしかに手に伝わってくる衝撃は弱い感じは本当にありますね。そういう意味でも、お勧めしたいのはたくさん球を打つ人。手への負担が少ないし破れにくそうなので、練習量の多い人とかは良いでしょうね」

続いては合成皮革グローブを装着して検証。着用感はどうだろうか。

「これは薄手のグローブで、装着してみると実際凄く薄いです。甲側が柔らかくて掌側も適度に柔らかいので手にフィットしますね。これは手が動かしやすいので、嫌いじゃないです。まさに“素手感覚”ですね」

合成皮革で打った結果は以下の通り。

【合成皮革グローブ装着時の飛距離】
1発目 237.3ヤード
2発目 253.2ヤード

「これは良いですね。僕は、スウィング中の左手の役割はインパクトでブレーキを掛けるモノだと思っているんです。そのブレーキを効果的に効かせるためにグローブをはめていると言っても過言ではないので、グローブ内で手が遊んで動いてしまったらブレーキがしっかり掛からないじゃないですか。その点、この“素手感覚グローブ”のように薄くてピタッとすると、ブレーキの効果が間違いなく得られると思います。あと、さっき切り返しのときに滑るのが嫌だと言ったんですけど、これは滑らない。僕はこのグローブのフィット感は好きですね」

そして最後に打ったのは天然皮革(羊革=エチオピアンシープ)のグローブ。装着してみると「全然違う。手との密着感がすごく良いです」と武市。ではさっそく検証結果を見てみよう。

【天然皮革グローブ装着時の飛距離】
1発目 247.1ヤード
2発目 255.3ヤード

微差ながらわずかに天然皮革のほうが飛ぶ、という結果に。「通常のラウンドで適度な力加減でスウィングするのであれば、グローブの中で手が滑らないほうが良いので、このグローブがオススメでしょうね」と武市。

「ただ真夏のジトッとした暑さがあるときや、雨が降って濡れたりすると天然皮革のグローブは内部で手がちょっと滑ってしまいそうですね。加えて天然皮革の欠点は破れやすいところ、そして値段が高いことですね。昔僕がジュニアの頃、お金持ちの家の平井君は、そんな高いエチオピアシープのグローブを雨の日に濡れたら惜しげもなく捨ててしまうんです。ソレを見た僕は、平井君が捨てたグローブをそっと拾って使ってました。今思えば、良い思い出ですね(笑)」

では雨が降ったあとなど湿度が高い状態の場合でのパフォーマンスはどうだろうか。加湿器を使用してグローブを湿らせた状態で再現して検証してみた際の、武市のインプレッションを聞いてみよう。

画像: 加湿器の噴出口にグローブを当てて、湿らせた状態で再度検証を行った

加湿器の噴出口にグローブを当てて、湿らせた状態で再度検証を行った

「全天候型の人工皮革グローブだと全然滑らなくて悪くないですね。同じく全天候型の合成皮革グローブについては、適度に湿っていると余計に手に馴染みやすく、非常に振りやすかったですね。全天候型のグローブに関しては新品状態だと本革に比べるとゴワゴワして密着感が弱いのですが、湿度が多くなるに連れて手に馴染みます。ですから新しいグローブを使うときには、事前に一度ごく少量の水分を含ませてからから使用すると手に馴染む感覚が得られるかもしれませんね」

一方天然皮革グローブは「湿度が多い環境だと手に馴染むのに一番時間がかかる感じでした」と武市。基本的には天然皮革の装着感が良いという武市だが「もっと言えば、天候などの条件によって使うグローブを変えるのが一番良いでしょうね」と言う。

「カラッとした日は、密着感抜群の天然皮革。湿度が高い日は薄手の全天候型。練習量が多い人はぶ厚い全天候型と、条件によってグローブを変える。結論としてはコレが良いですね」

協力/広尾ゴルフインパクト

画像: 【グローブ おすすめ】武市悦宏がチェック!ゴルフグローブ3選。素材で使用感はどう変わる?【レッスン】【ドライバー】【ゴルフグローブ】 youtu.be

【グローブ おすすめ】武市悦宏がチェック!ゴルフグローブ3選。素材で使用感はどう変わる?【レッスン】【ドライバー】【ゴルフグローブ】

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