ヤマハRMXブランドの最新モデルである「RMX VD」シリーズには、「RMX VD59」と「RMX VD」、2種のドライバーがラインナップされている。ざっくり言えば慣性モーメントをルール上限に迫る5820g・cm2まで高めた「RMX VD59」に対し、いわゆる“アスリートモデル”に分類されるのが「RMX VD」だ。
2モデルともヘッド体積は460cc。ソール部後方に20グラムと大重量の可変ウェートを配置している点、またそのウェートの位置を調整しても慣性モーメントが変化しない独自機構の採用といった基本的なテクノロジーも共通しているものの「『RMX VD』の見た目から受ける印象は『RMX VD59』と全然違います」と堀口は言う。
「『RMX VD59』は投影面積が大きくつかまえてくれそうな形状でしたが、『RMX VD』は締まった洋ナシ形状でプロ好みのスタンダードなヘッドです。バルジ・ロールがしっかり見えていてRMXシリーズらしさも感じられますね」(堀口)
中村も「『RMX VD』はフェースが右を向いているわけではないのですが、フェース角がついているぶんロフトがしっかり見えて左には行かないな、という印象を受けます」と評価。
試打ではロフト角10.5度のヘッドに「ディアマナPD50」シャフトのSフレックスと組み合わせて行ってもらったが「振り心地や弾道も『RMX VD59』とはだいぶ違いますね」と堀口はいう。
「『RMX VD59』は適度に弾きのある打感でしたが、『RMX VD』については弾き感も控えめでどちらかというとフェースがボールに吸い付いている感触のほうが強かったです。『RMX VD』は中弾道で強い球が飛ばせるイメージですね。やはり見た目の印象通り左には行きにくいですね。ニュートラルポジションでこうなので、ウェート位置を変えたらもっと左に行きにくい感じになる。これはプロも好んで使いますね」(堀口)
中村も「しっかり振っても引っかかる感じが出ないですね」と評価。さらに「ヘッドの操作性はありつつ、球の直進性も高いです」という。
「『RMX VD』の慣性モーメント値は5003g・cm2。『RMX VD59』よりは控えめなものの、数値としては十二分。直進性の高さは『RMX VD』でも感じますね。オートマチックにつかまえてスライスを防いでくれる『RMX VD59』に対し、操作性もある『RMX VD』といったところでしょうか」(中村)
とはいえ、中村の評価もあくまでウェート位置がニュートラルである場合のこと。「ウェートが20グラムと重いので、位置を変えるとフェースの開閉の度合いもしっかり変わります。自分の持ち球や、引っかけやプッシュなどの“たまに出るミス”に応じて調整すれば、フェアウェイの枠にちゃんと飛ぶ設定にできると思いますよ」と中村。
このウェート調整機能も相まって、プロ好みの見た目・性能と言えど「適切なスペックのシャフトを選べば十分にアマチュアの方も使いこなせるドライバーだと思います」と堀口。大慣性モーメントでやさしさもある「RMX VD59」に目が行きがちだが、アスリートモデルの「RMX VD」も一度試打してみることをオススメする。