史上初3度目の欧州年間王者を狙ったマキロイの野望を打ち砕いたのがモリカワだった。
「この一週間タイトルよりもとにかくこの試合に勝つことだけを考えてきた。(最終日)出だしの6ホールでパットを決めきれずパーが続いたときには嫌気がさしたけれど、ハーフターンでリーダーボードを見たらトップとの差がまだ2、3打しかなかった。バック9は気合を入れ直しスパークするチャンスを伺っていた」とモリカワ。
すると12番で「完璧なバーディ」奪取に成功。「あれで流れがきた」と上がり5ホールで4バーディを奪って一気にリーダーボードを駆け上がった。一方のマキロイは上がり4ホールで3つのボギーと対照的。結果6位タイに終わっている。
大会前からモリカワには追い風が吹いていた。直前になってポイントランク3位につけ逆転王者のチャンスがあった世界ナンバー1のジョン・ラームが棄権を表明。全英オープンとWGCイベントの勝利でポイントを稼ぎ直前1位のモリカワに優位な状況に。同2位のビリー・ホーシェルは出場していたものの下位でのプレーに終始し、唯一逆転王者のチャンスがあったディフェンディングチャンピオンのマシュー・フィッツパトリック(優勝、しかもモリカワがトップ10圏外が逆転王者の条件)も最終日の中盤までトップを走ったが終盤伸ばせず2位タイに終わった。
「アメリカ人初の年間王者になれなんて本当に光栄で特別なこと。数々の名選手やホール・オブ・フェーマー(殿堂入りプレーヤー)たちと肩を並べられたなんて(デビューした)2年前には考えもしなかった」とモリカワは感慨深げに爽やかな笑顔を見せた。
「僕はいつも何かいいことがあっても先のことを考えてしまう。まだ自分は世界1位ですらないし課題は山積み。もっとこれをしなければ、あれをしなければと考えるタイプ。でもこれが最終戦だし今回は少し優勝の余韻に浸りたい。喜びに浸っていたい」
優勝賞金200万ドル(2億2千万円強)と年間王者のボーナス100万ドル(1億1千万円強)を獲得し最高のシーズンを締めくくったモリカワ。残るは12月第1週に行われるタイガー主宰のヒーロー・ワールド・チャレンジのみ。カリフォルニア出身の日系4世は束の間のオフを心ゆくまで満喫するつもりだ。
ちなみに来日時本人に聞くと「自分が日系3世なのか4世なのか実はよくわからないんだ」と苦笑いしていた。