高反発ドライバーとは、フェース面がたわんで弾むバネのような動き、スプリング効果によって“飛びすぎ”が顕著になってきたことを受け、2008年にフェース面の反発系数に制限が設けられるようになった、いわゆる初速制限「0.83規制」の規制値を超えたドライバーのことだ。
この高反発ドライバーに対して、反発係数が0.83の規制値内のクラブは適合ドライバー、低反発ドライバーと言われ、公式競技などあらゆるシーンで使用可能。いっぽうの高反発ドライバーは競技などでは使えないが、プライベートなラウンドでなら使用可能だ。
今回武市が打つのは、高反発ドライバーのリョーマゴルフ「マキシマllスペシャルチューニング」と低反発ドライバーは普段武市プロが使用するテーラーメイド「M5」の2本。ともにヘッド体積は460ccでシャフトのフレックスはS、クラブの長さなどに関してもほぼ同じスペック。武市プロが2本を持ってみた印象では「若干、僕のM5のほうが軽いかなと感じます」といったわずかな差しか感じないという。では、さっそく打ち比べ開始。
テーラーメイド「M5」の飛距離:262.9ヤード
まず振り慣れている自前のM5に関してはゆったり目に振ったという武市。実はそこには460CCの大型ヘッドの打ち方のコツが含まれていた。
「小さい団扇(うちわ)と大きな団扇が2つあるとします。小さい団扇は素早くブンブン振れますよね。でも大きな団扇はブンブンとは振れませんね。だからスウィングスピードを出すにはコックを使ってビュンと鋭く振る小ぶりのヘッドがいいんです。逆に重心距離が長い大きなヘッドの場合は、空気抵抗も大きくなるので小さなヘッドのときよりもゆったり早目にリリースをしていかないと飛ばすことは厳しくなるでしょうね。要は、スウィングが変わるということです」(武市、以下同)。
では次に、M5と同じヘッド容積460ccのヘッドのリョーマゴルフマキシマllスペシャルチューニングを「まずはM5を打ったときと同じくらいのスウィングスピードで打ってみます」という武市。結果は以下の通り。
リョーマゴルフ「マキシマllスペシャルチューニング」の飛距離
1球目:251.0ヤード
2球目:270.7ヤード
高反発ドライバーながらM5より飛距離が伸び悩んだ1球目だったが、「高反発は打ち慣れていないので、もう一球打ちます」と言って打った2球目は270.7ヤード。1球目より20ヤードも飛んでいた。なぜ1球目と2球目とで飛距離の差が出たのだろう。
「種明かしをすると、1球目と2球目でスウィングを少し変えました。1球目を打ってみて、高反発で球離れが早いから、ロフト角が少ないと打ち出し角が低いのでドロップすると感じたんです。それで、もっと打ち出し角が欲しかったので、2打目は頭の位置をボールの後ろに残して打つイメージで打ったら、打ち出し角も11度くらいになって20ヤード伸びましたね。これで打ち出し角が14度くらいまで上がれば、もっと飛ぶと思います」
武市が指摘する高反発ドライバーの特徴である球離れの早さによって、弾道にどのような影響が出るのか。そして高反発はどういうゴルファーにおススメなのかを聞いてみよう。「高反発は球離れが早いので、ボールコントロールは難しくはなります。だから、ドローとかフェードなどをかけようとしたときに、回転がかかる前にボールが弾かれて真っすぐに飛んでしまう可能性もあります。飛ぶ人や上級者の人にとってドライバーショットは、飛ばすことともうひとつ、スコアメイクの要素が入ってくるので、そのためにはボールをある程度思った通りに操れるかが大事なポイントになってきます。そういったボールコントロールの面で、その手のゴルファーには僕はあまりオススメはしませんね」
いっぽう、武市が高反発ドライバーをオススメするのは、こんなタイプのゴルファーだ。
「ドライバーは毎度、カキーンと真っすぐ飛ばしたいというタイプや、たまにやるゴルフなんだからとにかく楽しみたいという方はぜひ高反発を使って飛ばしてもらいたいと思います。実際高反発のほうが飛ぶ!と、私は思います。もっと振り慣れていけば300ヤードまではいくでしょうね」