こんにちはケンジロウです。
高知県のKochi黒潮カントリークラブにきております。そう、今週は男子ツアーの大一番の試合、「カシオワールドオープン」です。
11月に入ってから毎日のように晴天の日が続いていますが、今週も練習日からずっと青空が広がっています。寒気のせいなのか空気がとても澄んでいて、コースからも太平洋がよく見え、とても雄大な景色が広がっています。朝晩は寒いですが、日中は気温も上がり、ほとんどの選手は上着を脱いで半袖でプレーしていましたね。
さて、今回の話題は、「堀川未来夢のパッティング」です。
堀川未来夢は予選ラウンドを終えて、初日64、二日目65でトータル15アンダー、予選ラウンドの129ストロークはカシオワールドオープンの予選ラウンドの最少スコアだそうです。いったいいくつまで伸ばすのか? 2位に4打差つけていますからね、まさに独走態勢に入っています。
好調の要因は間違いなく「パッティング」でしょう。本人も初日の試合後のコメントでそこに言及しています。
「4、5メートルぐらいの入れたいなというパットが結構入ってくれて、かなりよいラウンドでした。ここ最近のラウンドでは割と普通に打てました。今日もちょっと新しく試したことがあったんですけど、それも割といい感じにできました」(堀川)
彼が2年前ごろからパットのイップスにかかっていたのはもうみなさんもご存じかもしれません。もともと、彼のパットの技術やライン読みの技術の高さはツアーでも1位、2位を争うものでした。一度彼がパッティングの技術について語るインスタライブを見たことがあるのですが、打ち方や構え方、握り方、ボール位置などとても細かく話していました。それだけ深く考えるだけに、気がづけば手が動かない状態になっていたのかもと想像してしまいます。
では、パット復調の要因はどこにあるのか? その新しく試していることというのはどんなことなのか? 以下、本人のコメントです。
「出球をしっかり管理するというか、フックラインはフックラインの出球で、スライスラインはスライスラインの出球に、若干ボールにスピンをかけるような感じで打ったりしています。それが結構いい方向にいっています」(堀川)
まあまあ難しい話しだと思いますが、この話を聞いて、以前彼にパッティングの取材をしたときのことを思い出しました。記憶をたどってみると……、当時話していたのは、スライスラインの場合は少しヒール側に構えて、芯を外してヒールに当てて打つ、いっぽうでフックラインの場合はトウ側に構えて、芯を外してトウに当てて打つということでした。
彼の理屈は以下のような感じです。
例えばスライスラインの場合は、ヒール側でヒットさせます。ヒール側に当たるとギア効果で少しトウが前に出てフェースが閉じ気味になる。すると出球が左に出やすいので、スライスラインで致命的な「出球が右に出る」というのがありません。芯を外すことで球は弱くなりますが、ラインを厚めにつかえるので結果的に入ってくれることが多いとのこと。
フックラインの場合はその逆。少しトウ側に当ててギア効果で出球が右になることで、ラインを厚めに使えるということでした。
以前この話を堀川未来夢としたとき、彼は「センターシャフト限定の理屈」と言っていました。当時彼はセンターシャフトのスパイダーを使っていました。ヘッドのセンターにシャフトがついているので、芯を外したときにそのギア効果が発揮できるという理屈でした。確かにそれなら想像つきますよね(ちなみに彼のYouTubeチャンネルにその詳細出ておりますので、気になる方はご覧ください)。
でも彼が今手にしているのは、スコッティキャメロンのサークルTプロトタイプ。クランクネックでヒール側にネックが刺さっているので、芯を外して打った時のギア効果は、トウヒットでより大きくなり、ヒールヒットだとなかなか発揮できないのではと思ってしまいます。
「自分の理論的にはスパイダーを使いたいんですけど、どうしても意図しない動きがあるので、そうするとスパイダーは影響度が大きくなってしまう。今のパターだとそれが最小限になるんです」と堀川。
スパイダーほどのはっきりとしたギア効果はないにしても、今のクランクネックのマレットでも多少なりともその技を使って上手く打っているということでしょうね。ヘッドのソールを見るとトウ側に数グラムの鉛を貼っているのがわかります。苦手なショートパットのスライスラインでこの考え方がより効果を発揮すると言っていたので、そうなるとトウ側に貼った鉛もスライスラインでヒールヒットしたときの“ギア効果具合”の微妙な味付けなんでしょうね。
むむむ、とっても奥が深そう。このまま完全優勝を果たしたら、その理由をもっと詳しく教えてもらいましょう。
写真/姉﨑正