2月の事故後初めて公の場に登場しトーナメントホストとして会見に臨んだタイガーは時折笑顔を見せながら穏やかな表情で「少なくともこうして生きている。脚を切断せずに済んで幸運だった」と心境を口にした。
「人生でもっとも痛かった」というリハビリを経て「今こうして大会を主催し会見に臨むこともできている。ショートコース(パー3コース)ならプレーできるし練習も再開した。ショートゲームやパットも打てる。ただツアーのトップレベルで戦えるかといったら、まだそこまではいっていない。世界のベストといわれる選手たちと、世界でもっとも過酷なコンディションの試合でプレーするまでにはまだ長い時間がかかりそうだ。そこに到達できるかどうかは自分の脚次第」
不確定要素は多いがはっきり決まっているのはタイガーがもうフルシーズンを戦うことはないということ。これまでもそうだったが試合を選びコンディションを合わせて参戦するスタイルを踏襲する。
ではタイガーが復帰するならどの試合が有力なのか? 米ゴルフダイジェストの予想はこうだ。
第一候補はマスターズ。1997年に後続に12打差をつけメジャー初優勝を飾った大会はタイガーにとって、そしてゴルフ界にとってもエポックメイキングなイベント。01年に勝ったときには年をまたいだ“タイガースラム(4大メジャー連続優勝)”も達成した。
そして19年にはスポーツ史に残る世紀の復活優勝を遂げたマスターズはタイガーの復帰戦に相応しい。成績は度外視してもファンは彼の姿をオーガスタで見たいに違いない。もし復帰すればディフェンディングチャンピオン松山英樹との競演が楽しみだ。
希望的観測はマスターズだがタイガー本人は全英オープンへの出場に照準を合わせていたようだ。奇しくも来年の150回記念大会は聖地セントアンドリュースで開催される。「自分がもっとも好きな大会がジ・オープン」と語るタイガーにとって聖地は血湧き肉躍る舞台になるに違いない。
そのほかタイガー財団主催のジェネシス招待やジャック・ニクラスがホストを務めるメモリアル、第5のメジャー=プレーヤーズ選手権などもタイガーの参戦があり得るのでは? と噂されているが、彼の出場を切望する主催者たちもまだ何も知らされていないようだ。
プレーヤーズ選手権といえば22年の大会前日の3月9日にタイガーのゴルフ殿堂入りセレモニーが開催コースのTPCソーグラスに隣接するPGAツアー本部で行われる。本来セレモニーは今年の3月に行われる予定だったがコロナの影響で来年3月に延期されていた。
来るべき22年は本業で躍動するタイガーの話題をお伝えしたい。