ゴルフスパイクとスパイクレスを問わず、大きく分けてスニーカータイプと革靴のようなかっちりタイプにデザイン上は分かれていたが、近年どちらのモデルもそれぞれのデメリットをカバーするように進化してきている。
たとえば「ツアー360」に代表される【かっちりタイプ】に【スパイクレス】がラインナップしたり、柔らかいアッパー素材を採用して【かっちりタイプ】なのに軽くて疲れにくいもの、ニット素材で柔らかく軽い【スニーカータイプ】なのにホールド感が増しているものといった進化を遂げていると中村はいうのだ。歴代モデルを履きつくして来た進化を聞いてみよう。
「2016年モデルの『ツアー360ボアブースト』。このモデルはかなり履き込みまして、かかと部分の内側は破れてしまっているほどです。ボアとアッパーの両側から締め上げられるホールド感とかかと部分の硬さのおかげで、スウィング中にブレない感覚が好みでした。ただ唯一のデメリットはソールが厚いせいか地面からの高さが高くなることでした」(中村)
靴ひもの代わりに採用されたダイヤル式で締める緩めるがワンタッチでできるボアと、ソール部に配置されたブーストと呼ばれるクッション材による履き心地のよさが売りだったモデル。防水性能の高いアッパー素材も長く履き続けられた理由のひとつだという。
同じく「ツアー360シリーズ」のアッパーにニット素材を採用したモデル「ツアー360XT」。ニット素材ならではの靴下をはくような感覚で足にフィットしながら撥水加工で少しくらいの雨なら安心して使用できる軽量で履き疲れしないザ・スニーカータイプといえるモデル。
「ニットのアッパー素材が柔らかく伸縮性が高いので疲れにくい。でもちょっと自分には緩すぎましたね。斜面でのスウィングで靴の中で足がズレる感覚があったので靴ひもをしっかり締めて使っていました。撥水は効いていますが雨には強くないので晴れ限定で使用しています」(中村)
続いて大ブレイクしてシェアを一気に拡大したモデルの「コードカオス ボア」。ハイカットまでにはならないミッドカットで、足首までの高いホールド感とグリップ力の高いスパイクレスの機能性とデザイン性を合わせもったことが人気を博した。
「スパイクレスなのにグリップ力は高いし、ホールド感もしっかり。まるで足袋を履いているようなフィット感で軽くて疲れにくい。ただ、脱ぎ履きが結構大変でしたね」(中村)
21年モデルの「ZG21 ボア」。ツアープロたちがこぞって使用するこのモデルは、ホールド性と快適性の両立を実現したモデル。
「いま現在のエースとして使用しています。とにかくスウィングしたときの安定感が抜群です。防水性能やホールド性、1ラウンド歩いても最後までスウィングの土台を安定させてくれる安心感は大きいですね」(中村)
最新モデルの「ZGモーション ボア」はコードカオスの進化版的モデルでミッドカットで高いフィット感が人気だ。アッパー素材にペットボトルなどから作られた高機能なリサイクル素材を使用することで地球環境問題にも取り組んだモデル。
「撥水性のあるアッパー素材のおかげで朝露に濡れても問題ありませんし、伸縮性が低いのでゆるさも感じない。かかと部分がしっかりした作りになっているのでスニーカータイプの中では最もホールド性が高いと感じます。コードカオスよりも脱ぎ履きは楽になりましたね」(中村]
スニーカータイプかかっちりタイプか、スパイクかスパイクレスか好みは分かれるところだがどんな選び方をしたらいいのだろうか。ポイントを教えてもらった。
「まずは履いてみてソールを地面につけた状態で足首をねじるように左右に動かしてみると、ホールド性や安定感が感じ取れるます。スウィング中は大きな負荷がかかるので、ゆるさを感じるようなら靴ひもやボアならダイヤルを締めて再チェックします」(中村)
スウィングを支える土台になるシューズはある程度の安定感が必要で、試し履きした状態で必ずチェックしよう。斜面からのショットを想定してシューズの中で足がズレないモデルを選びたいところ。
もうひとつのポイントは、歩いたときの疲れ度合いを見ることだという。ソールの厚みや硬さ、アッパー素材の硬さ、そして全体の重量、スパイクかスパイクレスか。いくつかのモデルを履き比べてみると自分の足にフィットしたモデルが見つかるはずだ。
「試し履きして歩いてみて、アッパー部分やソールが硬すぎるように感じると疲れにつながります。スパイクレスなら突き上げ感も少なく歩きやすく疲れにくいですね。足裏で傾斜を感じることも重要なので、ソールの厚みや硬さの異なるモデルを履き比べることをお薦めします」
斜面や滑りやすい地面もある中で安全にプレーができ、疲れにくく最終ホールまでしっかりと足を支えてくれるシューズを選ぶことでスコアアップにはもちろん、翌日の疲れにも影響してくる。シューズ選びの参考にしてみてはいかがか。