100切りを達成するために、重要となってくるのがショートゲーム。「とくにピッチングウェッジ(以下PW)ですね。PWで距離を打ち分けられるスキルさえ身につけることができれば、ボギーが取れる内容のゴルフ、ひいては100切りも達成できますよ」と兼濱は言う。
「PWは振り幅を変えることによっていろんな距離が打ち分けやすいクラブです。たとえばPWのフルショットで100ヤード飛ばせるゴルファーが距離の打ち分けもできたとしたら、残り100ヤード以内の地点までボールを運びさえすればそれだけでグリーンオンのチャンスが生まれるわけです」(兼濱、以下同)
たとえばドライバーで180ヤード、PWで100ヤード打てるゴルファーが、350ヤードのパー4を攻略するとしよう。ティーショットで残り170ヤード、2打目はPWのフルショットで刻んで残り70ヤード。そして3打目にPWで距離を調節させグリーンオンすることができれば、あとは2パットでもボギー、十分に100切りペースとなる。
このように「PWのフルショット以内の距離にさえ進めば1打でグリーンオンのチャンスが作れる」という状態になれば、ショートゲームの精度だけでなくホール全体のマネジメントもしやすくなるというわけ。
そのためにまず知っておきたいのが「自分のPWで飛ばせるマックスの距離」だ。
「もちろん無茶振りでのマックスではなく、ちゃんと自分のなかで『グリーンに乗せられる、運べる』というイメージが湧く“狙える”マックスの距離です。まずはこれが何ヤードなのかを把握しましょう」
それを念頭に置いたうえで打ち分けの練習をしていくのだが、兼濱は「少なくとも一度はシミュレーターや計測器があって正確に数字として飛距離が出る環境で打ち分けの練習をしてみてください」という。
「打ちっ放しなどにも距離の看板は設置されていますが、どうしてもアバウトですしピッチ差がそんなにない場合が多いんですよね。なので、計測器のデータを見ながら『このくらいの振り幅で〇ヤード飛んだな』と、感覚と実際の結果の擦り合わせをしつつ打ち分けの感覚を磨いていくのがオススメです」
具体的な練習方法として兼濱がオススメするのが「10ヤードずつ刻んで打つドリル」だ。
「まずはキャリーで10ヤードを打つ練習から始めて、20、30、40……と10ヤード刻みで振り幅を調節して距離を増やしていき、最終的に自分がマックスで打てる距離まで10ヤード刻みで練習していきましょう」
もちろん振り幅に応じてスタンス幅も変えていく必要がある。目安としては「体の正面側から見てクラブシャフトが地面と平行以下に収まる小さい振り幅までであれば、ボール1個ぶんで統一して問題ない」と兼濱。それ以上の振り幅にする場合「スウィングの遠心力によるヘッドの加速の度合いが増えるため、それに耐えられるよう、打つ距離が10ヤード増えるごとにボール1個ぶんずつスタンス幅を広げていきましょう」という。
もちろんいきなりきっちり10ヤードずつ正確に打ち分けられるようになろうとする必要はない。そもそも「プロであっても精密に打ち分けるのは難しい」(兼濱)からだ。
「なのでまずは『振り幅が変われば距離が変わる』ということを体感してほしいですね。成功体験を積んでいけば、振り幅で打ち分ける感覚も身に付いていきますよ」