練習ラウンドではとにかく選手とコミュニケーションをとる
幼少期からゴルフを始めた栗永は大学を中退しプロゴルファーからコーチへと進む道を変更し、南秀樹コーチの元で3年間コーチの修行を積む。その後同い年で親友の稲森祐貴の勧めでプロキャディの道へと進んだ。
2019年の開幕から国内女子ツアーでプロキャディとして歩み始め、石井理緒のキャディを務めるとその後、浅井咲希 と共に初優勝を挙げる。これまで大里桃子、柏原明日香らのキャディを務めてきた。先ごろ行われた国内女子ツアーのファイナルQTでは13位に入った桑木志帆のキャディを務め来季の前半戦出場権獲得をサポートした。
19年当時プロキャディとして最初に取り組んだことは選手の番手の距離やプレースタイルを学ぶことは当然だが、練習ラウンドではとにかく選手とコミュニケーションをとることだったと振り返る。
「好きなプロゴルファーから好きな音楽やファッション、好きなお笑いとか、どんなことに興味があるのかというゴルフだけでなくいろいろな話しをする中で選手を理解することから始めました」
多くのコミュニケーションの中からラウンド中の話題を探すことだけでなく、普段の性格や試合中の心の移り変わりを知りどんな言葉を使って話しかけたらいいか、その選手を学ぶことを心がけているという。
「たとえば続けてボギーを打ったりしたときに、声をかけたほうがいい選手と放っておいたほうがいい選手がいるんです。声をかけた方がいい選手には励ましポジティブな方向に進むように声かけますが、放っておかれたい選手にそれをやってしまうとめちゃくちゃキレられます(笑)」
プレーの流れがいいときと悪いときでその選手がどんな言葉をかけられたいのか、もしくはかけられたくないのか。その空気を読むことがもっとも難しくプロキャディとして最も重要なスキルのひとつだと栗永は感じているという。
プレーの流れが悪くなる前に、引き止めたり悪い流れを断ち切るほんの些細なきっかけを探して選手に提供することは、選手のいちばん近くにいるキャディの醍醐味でもあるだろう。
栗永キャディの失敗談はまた別の機会にお伝えしよう。