来シーズンの出場権をかけた米女子ツアーのQシリーズで8ラウンドの長丁場を戦い抜いた古江彩佳と渋野日向子がフル参戦権を獲得した。時を同じくして開催された米チャンピオンズツアーのQTファイナルでもドラマが。ツアー経験のない一介のクラブプロが夢舞台の切符を掴んだのだ。今回は女子ではなくシニアのストーリーにスポットを当てる。

フィル・ミケルソン、アーニー・エルス、ジム・フューリックらメジャーチャンピオンらが集う米チャンピオンズツアーは今や華やかなルネッサンス期と呼ばれ試合数も賞金も右肩上がりの人気ツアー。プロなら誰もがシニアになったらチャンピオンツアー戦戦の青写真を描く。しかしレギュラーツアーの実績を持たずにシニア入りを目指すのはそれこそラクダが針の穴を通るほどの狭き門。何しろ年1回行われるQTファイナルでトップ5、つまりきっかり5人しか翌年の参戦権を得ることはできないのだ。

LPGAツアーで20名強、PGAツアーでも40名以上が新たに出場権を獲得できる世界でオーバー50に許される枠はわずか『5』。QTファイナルに出場する選手の中にはレギュラーツアーで優勝経験がある誰もが知るプレーヤーも多い。その中で今回トップ合格を果たしたのがツアー経験のないティーチングプロ、ロブ・ラブリッツだ。

画像: 米チャンピオンズツアーのQTファイナルをトップで合格したロブ・ラブリッツ(写真/Getty Images)

米チャンピオンズツアーのQTファイナルをトップで合格したロブ・ラブリッツ(写真/Getty Images)

ニューヨークのグレンアーバーGCのクラブプロ、ラブリッツはQTファイナルの最終日7バーディ、ノーボギーの完璧なゴルフで通算17アンダーまで伸ばし、アジア歴代最強といわれたトンチャイ・ジェイディー(昨季渡航制限で出場機会が減りシード落ち)らに3打差をつけトップで来季の出場権を獲得した。

5月に50歳の誕生日を迎えた彼はクラブプロとしてこれまで8度全米プロゴルフ選手権に出場し10年と18年には予選を通過。クラブプロ最高の栄誉を獲得した。さらに今年6月に行われた全米シニアプロゴルフ選手権にも出場。そこで6位に入ったことで地区予選免除でQTファイナルに出場する資格を得た。

「これまで多くのプロと一緒にプレーしてきて、皆が“キミにはチャンスがある。頑張りなさい”と励ましてくれました。そして今日こうしてQTファイナルに優勝してチャンスを掴みました。世界で一番(出場権を掴むのが)難しいといわれるツアーで戦う権利を得たのです。15年願い続けてきた夢がかなった。本当に言葉がないほどうれしいです」

感情を爆発させたラブリッツは涙で頬を濡らしキャディと抱き合い喜びを分かち合った。

例えばアメリカンフットボールやバスケットボールの有名選手が現役引退後ゴルフに転身しチャンピオンズツアー入りを目指したりする。しかしザ・マッチのようなエキジビションに出場することはあっても実際シニアで活躍する例は皆無。餅は餅屋ではないがやはりゴルフはゴルファー、なのである。

ツワモノ揃いのチャンピオンズツアーで来季ラブリッツがどれだけ活躍できるかはわからない。しかし世界のクラブプロに大きな夢を与えたことだけは確か。頑張る人にチャンスは巡る。

This article is a sponsored article by
''.