ゴルフで「匠」といえば、本間ゴルフの酒田工場、ミズノの養老工場、アイアン発祥の地・兵庫県市川というように、都会の喧騒からは離れ自然と触れ合えそうな場所で、技術を磨き、技術を伝承させているイメージがする。確かに、とくに日本人の心には、都会でないほうが「伝承」「技術」などの匠イメージさせる言葉と結びつきやすく、出来上がった製品にも工芸品のような重みが加わり、響く気がする。
しかしながら、「匠」をより感じられるのは作品の出来栄えだ。伝統の技術が詰まった作品を見せられれば、誰もが納得するに違いない。
と、堅苦しい説明はさておき、東京近郊にもゴルフの匠がいる場所があるという情報をキャッチ! 千葉県・松戸市へと向かった。
向かった先は「マジェスティゴルフ」の工場。この12月に名称を「マジェスティゴルフスタジオ」としてリニューアルオープンした。
「マジェスティゴルフ」といえばゴルファーならご存じの通り、1971年創業、かつてはマルマンゴルフとして革新的なゴルフクラブを世に送り続けてきた歴史のあるゴルフメーカー。1973年から千葉県松戸市に工場を設立し、「コンダクター」シリーズ、「ダンガン」、「スッポン」など革新的クラブを世に送り続けてきた。創業当初と場所は違えど現在も松戸市を拠点としてクラブを作り続けている。
ドライバーでいえばパーシモン時代から培われた技術は素材が、メタル、チタンへと移り変わっても、脈々と受け継がれている。
このスタジオでは最新技術を投入したクラブの開発、1本1本技術と正確性が求められる高精度のアッセンブルなどに加え、熟練の匠にしかできないチタンヘッドを鏡のような光沢に仕上げる「鏡面ミラー研磨」や多彩な色彩の「グラデーション塗装」、デザインと機能が融合した「レーザーミーリング」などメイド・イン・ジャパンにこだわった、ものづくりがおこなわれている。とくに「マジェスティゴルフ」のオリジナリティと和が感じられる「グラデーション塗装」は圧巻、施されたクラブはもったいなくて使えないのではないかと思ってしまう。このような匠の技術を見学、実際にやり取りしながら、最新機器を使ってフィッティングし、カスタムオーダーできるサービスも近々始まるというのだから楽しみだ。
いくらクラブ開発の技術力が上がり、コンピューターにより形状やスペックの解析が進んだとしても、なんともいえない美しい曲線美や、なんだか飛びそうな気がするという雰囲気は人の手で作られ加工されたものに宿る、伝統を受け継いできた職人、匠の技がそこ求められる。人の手が加わることで、クラブから人が使う道具へと変わる。その瞬間を都会にいながら見ることができた。