2018年に初優勝を飾った黄金世代の大里桃子は、開幕からパットの調子が上がらずに5戦中4戦で予選落ちを喫していた。しかし5戦目の「ヤマハレディース葛城」でパターを3インチ長くした36インチのピン社のツノ型に替えたところ、これがハマり4月末の「パナソニックオープン」で上田桃子とのプレーオフの末2位となり、翌週から2位タイ、優勝、2位、2位タイと5週連続で優勝か2位タイと「ミス・メイ」と呼ばれる大活躍を見せた。
21年は1試合を除いて36試合でキャディをし、そのうち17試合を大里桃子とともに戦った川口大二キャディ。開幕から調子が上がらなかった大里が上昇に転ずるきっかけは7戦目の「KKT杯バンテリンレディス」にあったと話します。
「5戦目のヤマハでパターを36インチの中尺にしてからパットの調子は上がってきていました。そして地元熊本の大会で初日に5オーバーと出遅れましたが2日目に67でプレーして予選通過。2日目に思い切って攻めるゴルフができたことでその後のゴルフに変化が生まれました」(川口大二キャディ)
地元の熊本で開催される「KKT杯バンテリンレディス」はプロになって3回目、アマ時代も含めると5回は出場しているが一度も予選を通過したことがなかった大会だった。21年も初日に出遅れたことで落ち込んでいたが2日目は、思い切ってピンを攻めパットも決められたことでオフに取り組んできていたショットの改善にも自信がもてるようになったと川口キャディは言う。
そして「パナソニックオープンレディース」では、2日目を終えて上位陣は首位の古江彩佳を筆頭に、西村優菜、上田桃子、原英莉花、稲見萌寧らが3打差以内にひしめく接戦の中、強風の吹いた最終日に73で耐えた熊本の先輩である上田桃子とのプレーオフにもつれ込んだ。地元の大先輩である上田桃子との桃子対決は結果的に上田に軍配が上がったのだが、この試合で自信を深めると翌週から大活躍が始まった。
「優勝した『ほけんの窓口レディース』ではバッグを担いでいなかったのですが、前後の『パナソニックレディース』で2位、『サロンパスカップ』で2位タイ、『リゾートトラストレディス』で2位タイと『住友生命レディス東海クラシック』でも2位タイと、この4試合で担がせてもらって、これで家族で年を越せそうだなと思いましたね(笑)」(川口キャディ)
大里のパット練習は、ルーティン化している幾つかのドリルをおこなうが、これをやり始めてからパットが向上してきていた。例えばレールの上を転がしたり、紐を引っ張ってその紐に沿ってボールを転がしたり、短い距離を連続でカップインさせたりと、父の充さんと考えたドリルを必ずメニューに加えているという。
「練習グリーンで短い距離を50球連続で入れるドリルは、外したら最初からで終わるまで帰れないルールでやっています。練習でもプレッシャーをかけてやることで本番に役立つようにやっています」(川口キャディ)
ショットについては基本的にドローヒッターではあるが、サラッとフェードボールでピンを攻めることもできるようになってきているという。「オフの間にアプローチとパットをさらに向上させてくれば20-21年の賞金ランク12位を上回る22年になることは間違いないだろう」と川口キャディは期待を寄せる。
そしてもう一つ印象に残ることはイ・ボミと一緒に戦った15試合だったと川口キャディは続ける。
「ボミとはここ数年15試合くらい組ませてもらってます。ゴルフに向き合う姿、その人柄が素晴らしくて何とかもう一度勝ちたい、勝たせてあげたいと担いできました。昨年からコロナの影響もあって出場が少なかったのもあってシード権は落としましたが、来年も14試合くらいは出場できるというのでチャンスはあると思います」(川口キャディ)
2022年も裏方として選手をサポートするプロキャディにも注目していこう。