プロキャディに2021年を振り返ってもらう年末年始企画。第4弾はプロキャディとして”せきはん”こと関根淳キャディ。21年の印象に残った試合を振り返ったインタビューをお届け。

関根淳キャディは2010年から丸山茂樹の帯同キャディを務めたあと、数々の男女ツアー選手のバッグを担ぎ、ツアーキャディ歴22シーズン目を迎えるベテランのひとりだ。

近年では若い選手をキャディの立場から、成長を促すキャディとしても活躍している。2020から2021年の2年間が統合になった今季国内女子ツアーで初シードを獲得した仲宗根澄香や植竹希望のキャディを務め、注目選手としても彼女たちのことを教えてくれていた関根キャディ。

そんな関根キャディに2021年を振り返ってもらうと、印象に残ったのは女子では初シード権を獲得した仲宗根澄香と、惜しくも賞金王を逃した星野陸也だという。

初シード権を獲得した1日1ミリ成長する仲宗根澄香

2015年にプロテストに合格した仲宗根澄香は、1日1ミリ成長しようと自分のペースで着実にステップを踏みレギュラーツアーへと上がってきて、2020年で約2千万を稼ぎシード権獲得に視界良好な状態で2021年を迎えていた。関根がキャディを務めた21年の13戦目「リゾートトラストレディス」では前週まで、2試合連続で予選落ちしいまひとつ浮上のきっかけをつかめずにいたという。

「攻めるのか安全にいくのかの判断が中途半端になり、ボギーを叩いて流れが悪くなることがあったんです。そのことを話し合ったときに積極的に攻めるのか守るのか、状況に応じて『自分で決めることが大事なんですね』と言われたことが印象に残っています。彼女は少しずつ確実に積み重ねて来てシード権を獲得するまでに成長している1場面だったなと思い出します」(関根キャディ)

画像: 初シード権を獲得した仲宗根澄香(写真は2021年のコニカミノルタ杯日本女子プロゴルフ選手権 写真/大澤進二)

初シード権を獲得した仲宗根澄香(写真は2021年のコニカミノルタ杯日本女子プロゴルフ選手権 写真/大澤進二)

仲宗根はトレーニングを積み飛距離を伸ばしショットの精度も上がって来たことで約5000万円を稼ぎ、賞金ランク39位で初シードを獲得、来季は初優勝を狙うひとりにまで成長した。初優勝への最後のピースは「腹をくくれる」メンタルだと関根キャディは続ける。現在の女子ツアーは攻めなければ勝てない、上位にも行けないセッティングが多くなっている中で、セーフティなプレーばかりでは予選は通過するもののシード権獲得までには手が届かない状況になっている。

「ラウンド中のプレーの流れ、選手の心境の変化などを感じ取り背中を押すべきなのか、安全策をアドバイスするのかという選手とキャディのやり取りの難しさはありますが、積み重ねた経験を次に生かせることが仲宗根澄香の強さだと思うので、攻めるべきときは攻めてスコアを伸ばし、来季はレギュラーツアーでの優勝を成し遂げると思います」(関根キャディ)

男子ツアーに話を移すと、2020年の「フジサンケイクラシック」で1勝、2021年は「関西オープン」と「アジアパシフィックダイヤモンドカップ」で2勝を挙げ、賞金王争いを繰り広げた星野陸也とコンビを組んだ試合が印象に残っているという。星野について、関根キャディはこう語る。

画像: 星野陸也(左)を中心に、国内男子ツアーでも様々な選手のバッグを担いだ関根キャディ(右)(写真は2021年のダンロップフェニックス 撮影/有原裕晶)

星野陸也(左)を中心に、国内男子ツアーでも様々な選手のバッグを担いだ関根キャディ(右)(写真は2021年のダンロップフェニックス 撮影/有原裕晶)

「スウィングのこと、クラブのことをいつも考えているゴルフオタクですよね。休もうと思っている日でもゴルフショップに行ってクラブを見たりしてしまうと聞きますし、つねに研究しています。試合でもテーマを決めて取り組んでいますし、トレーニング器具をホテルに持ち込んでいるくらいです」(関根キャディ)

海外ツアーを視野に入れて自分の課題を見つけ、計画を立て着実に進んでいくタイプだと関根キャディはいう。普段のプライベートなラウンドからヤーデージブックに細かくメモを取り、試合と普段のラウンドで違いを作らないようにしているという星野らしいのは、練習ラウンドと試合の飛距離にあると続ける。

画像: 計画を立て入念な準備で海外ツアーを目指す星野陸也(写真は2021年のKBCオーガスタ 写真/有原裕晶)

計画を立て入念な準備で海外ツアーを目指す星野陸也(写真は2021年のKBCオーガスタ 写真/有原裕晶)

「ほとんどの選手は練習ラウンドよりも試合のほうが球が飛ぶので距離感を合わせるのもキャディの仕事になりますが、星野選手は練習ラウンドと試合の飛距離がほとんど変わらないんです。でもさすがに優勝争いをしてくるとだんだん距離が伸びてくるので、その辺を考えての番手選びが必要になってきます。そのための準備を練習ラウンドでラフからの距離感や打ち上げ打ち下ろしの距離感を入念にメモを取りますね」(関根キャディ)

賞金王を戴冠したチャン・キムとは約2千万円差の5位で今シーズンを終えた25歳の星野陸也。来季は目指す海外ツアーに向けて世界ランキングを上げる重要なシーズンになりそうだ。

関根キャディも来季の男子ツアーに関しては、コロナ禍で入国が制限されていた外国勢の復帰と男女ツアーともに有観客試合が増えることによる勢力図の変化を挙げる。

「宮里藍選手や松山英樹、石川遼選手などピンチからの奇跡的なショットやチャンスを作り出すショットなど記憶に残るプレーはファンあっての成せるプレーなんだと思います。来シーズンは有観客試合が増えると今季よりももっとプロならではの魅せるプレーが見られるようになると思いますし、声援を力に換えられる選手が活躍すると思います」(関根キャディ)

関根キャディの印象に残る星野陸也や仲宗根澄香が来シーズンどんな活躍を見せてくれるのか。ギャラリーが入って男女ツアーの選手がどんなプレーを見せてくれるのか、3月の開幕が待ち遠しいオフになりそうだ。

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