昨年から続くコロナの影響で、21世紀になって初めて海外の試合撮影がなかった2021年です。早春のLPGA開幕戦ダイキンオーキッドレディスから始まって、師走のJGTO日本シリーズまで10か月間トーナメントを撮り続けさせて頂きました。
撮影した試合だけの感想ですが、女子は豪雨の「ダイキン」最終日を制した小祝さくら、「ヤマハレディースオープン葛城」では最終ホールで逆転の長いバーディーパットを決めた稲見萌寧。夏場の「GMOインターネット・レディース サマンサタバサグローバルカップ」でママで優勝の若林舞衣子も印象的でした。
男子も開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で金谷拓実がアマの中島啓太を振り切っての優勝から始まって、プロデビュー戦の「関西オープン」で肩を落とし予選落ちを喫した久常涼が捲土重来アベマツアーで3勝してから秋のビッグトーナメントで飛翔して来ました。
また、ベテランの域に入った谷原秀人が「三井住友VISA太平洋マスターズ」と「ゴルフ日本シリーズJTカップ」に勝ったことも、コーチが入れる試合が少ない中、コーチ帯同できる試合でコーチと共に懸命にスウィングの改造に取り組んでいた姿を撮っていたので納得の優勝でした。
そんな中で今年の1枚に選んだのは、やっぱり松山英樹です。
「ZOZOチャンピオンシップ」最終日18番ホール。松山は追うトリンゲールを突き放してはいましたが、17番をボギーとして18番ティーショットです。ヘッドが小さい。FWのようです。アドレスに入った松山に秋の夕日がスポットライトのように当たっています。全員打ち終えてから2打目地点へ向かいます。19年大会の時はフェアウェイ右バンカーに入れていた松山を右サイドから取った記憶が蘇りましたが、今回のボールは概ねセンターです。と、後ろを振り返ると多くのギャラリーが右側を移動してそこに留まって人垣ができています。ここは左側に陣取り、なるべく背後にギャラリーを入れ込んだ横位置写真にします。
「Go!」セカンドショットを打ち終えた直後、松山は小さく短く叫んだように見えました。「ZOZO選手権」最終日18番ホールの2打目。静寂の中放たれたボールの行方は、私達カメラマンには分からないのですが、「Go!」このひと言とボールを追う目の力強さで手応えのあるショットであることが感じられました。で、打ち終えて歩き出した松山の表情を撮り続けて行くのですが、そこには納得と自信に満ちた顔がありました。勝負あった、の1打でした。
日本のみならずアジア初の「マスターズ」に勝って凱旋。母国開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」で、2019年のタイガーウッズと同じ軌跡を残して勝ち切った松山英樹。あっぱれのひと言です。