有観客で開催された試合も多くあり、少しずつではあるが以前のツアー観戦に近い形が戻ってきた2021年。そんな今年のゴルフ界で印象に残った「今年の1枚」と言えるベストショットを、ツアーで活躍するカメラマンたちに選んでもらった。第3回は、有原裕晶が選んだベストショット!
画像: 9年ぶりに黒宮コーチと再会し、穏やかな表情を見せる松山英樹(写真は2021年 ZOZO選手権 撮影/有原裕晶)

9年ぶりに黒宮コーチと再会し、穏やかな表情を見せる松山英樹(写真は2021年 ZOZO選手権 撮影/有原裕晶)

2021年、今年の1枚は週刊ゴルフダイジェストの企画で「ZOZOチャンピオンシップ」に撮影に行ったときのひとコマです。

大会に参加するために来日していたUSPGAツアーの選手をツアープロコーチの黒宮幹仁さんが現地から解説・レポートするという企画で動いていました。
企画のメインカットとして「試合で、松山英樹選手のドライバーショットを後ろから見ている黒宮コーチ」という写真を撮ることになりました。そのため、松山選手が到着する何ホールも前からティーイングエリア後方で黒宮コーチにスタンバイしてもらって待機していました。

そこに現れた松山選手。一瞬のチャンスを逃さぬように現場にも私にも緊張が走ります。
ファインダーを覗き、フレームにいちばんいい感じで納まるよう、ふたりの構図を決めシャッターに指をかける……。よし、いつでもこいと構えます。
しかし、松山選手がふとギャラリーのほうに目をやったと思うと、黒宮コーチがいることに気づき、試合中だというのに、話かけ会話を始めてしまったのです!

松山選手と黒宮コーチはジュニア時代にはライバルで、しのぎを削った旧知の仲。あとで聞くと、大学3年生の日本学生選手権の試合以来、9年ぶりに会ったのが、なんとこのティーイングエリアだったとのことでした。

コロナ禍でマスクをしていても、かつてのライバルのことは、すぐにわかるんですね。
でも、いくら久しぶりに顔を合わせたとはいえ、その日は大事な試合の初日。それも、あとから考えれば、あの感動の優勝シーンを生んだ「ZOZOチャンピオンシップ」の初日ですよ。その試合中にも関わらず談笑し始めるとは……。

松山選手といえば、取材中でも試合中でも厳しい表情が多いプロのひとりです。それが試合中にも関わらず、こんな穏やかな表情で話すなんて珍しい! とシャッターを押しました。

もちろん、狙っていた写真はこのあと、無事に撮ることができましたが、それ以上にいい表情の写真が撮れた思い出深い1枚です。(有原裕晶)

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