ドライバーのスライスを嫌がると出てしまう左から左へと曲がるチーピン、真っすぐから右、右から右へと曲がり方は千差万別。間違った修正でドツボにハマらないよう、ミスの傾向からそのメカニズムの分析と改善法をプロゴルファー、フィッター、トラックマンマスターという三刀流の小島慶太プロに教えてもらった。
左から左へのチーピン、クラブはカット軌道⁉
ミスの傾向がどんな弾道なのかによってメカニズムも改善法も大きく異なると小島慶太プロ。小島はプロテスト合格後にツアー参戦したあとティーチングプロ資格、トラックマンマスター、TPIレベル3、タイトリストフィッテイングマスターなどスウィング面と計測器、フィッテイングまでの幅広い資格を取得した異色のプロ。ここでは左へのミスの中でも代表的な、左に出て左へと曲がる弾道を解説してもらうことにした。
低い弾道で左に打ち出され林の中に消えていく”チーピン”。なぜそう呼ばれるのかは麻雀パイのピンズの7、つまり「チーピン」と弾道が似ているからという説が有力だが、クラブフェースの向きや軌道はどうなっているのだろうか(画像A)。
「クラブのデータからこの弾道のメカニズムを説明すると、打出し方向(LAUNCH DIR)が‐6.4度と表示されています。ドライバーの場合、打出し方向はフェースの向きに85%影響され残りの15%はクラブパスに影響されます。なのでこのインパクト条件は-7度と左に向いたフェース向きと‐2.5度のアウトイン軌道と両方とも左に向いてインパクトした結果を示しています。カット軌道であってもスライスしていないのは2.5度のアウトイン軌道よりも7度とクラブフェースが大きく左に向いているためです」(小島慶太プロ)
ちなみに打出しが左に出て真っすぐに飛ぶ弾道(プル)の場合は、この場合クラブ軌道-2.5度とフェースの向きも-2.5度と同じであるとターゲットラインよりもやや左に真っすぐの弾道となる。左に曲がらず右に曲がる、つまりスライスするケースは-2.5度のクラブ軌道に対してフェースの向きが-2.5度よりも大きい数字、つまり右を向くと左からターゲット方向に曲がる弾道になる。
そしてもうひとつ、低い弾道になる原因としてインパクト時のロフトが6度と立っていてさらに入射角も-1.5度とダウンブローでインパクトしていることが挙げられる。
ではこのミスの傾向があるゴルファーのスウィングの傾向を教えてもらおう(画像B)。
「アドレスで右サイドを高く構え、右サイドの側屈は少ない。そのまま高くテークバックし切り返しから速めにリリースしてしまうことでクラブがダウンブローに入ってしまう傾向があります」
それでは、ミスの傾向がチーピンになるゴルファーの改善策を聞くとまずはアドレスの構え方からと小島プロ。
「やはりアドレス時の構え方は重要です。ドライバーの場合はボールを左わきの下あたりに置きますのでそのボールを真上から見ようとするとどうしても右肩や右サイドが高くなりカット軌道と入射角がダウンブローになる原因になります。頭はボールよりも右に置き右肩は少し下がることを意識しましょう(画像C)」
アドレス時の構え方を修正することでインパクトで左に突っ込んでフェースが左に向いてしまうことを防ぎ、ダウンブローに入ってしまう入射角も改善できると小島プロ。そのうえで、軌道とフェースの向きを整えるヘッドカバーを使った簡単ドリルを教えてもらった(画像D)。
「稲見萌寧選手はボールを3つ並べて真ん中のボールを打つドリルをツアー会場でもルーティン化していますが、ここではヘッドカバーを使います。ボールの右上と左下に幅を広くしてヘッドカバーを置き当たらないように打つドリルですが、やってみると効果は抜群です」
大きなヘッドカバーを置くことで視覚的にも当たらないように打つようになり、カット軌道が修正されれば自ずと入射角もダウンブローからレベルやアッパー軌道になりやすく、より効率の良いスウィングへと導いてくれるはず。左から左へのチーピンにはうってつけのドリルではないだろうか、早速試してみよう!
取材協力/4plus フィッティングスタジオ&ゴルフサロン