20-21シーズンで5勝を挙げ、賞金ランキング3位に入った小祝さくら選手。そのスウィングを見ると、手先を使わず、体全体でクラブを操作しようという強い意志が感じられます。
たとえば、バックスウィングでは左腕が平行になるあたりまで、手首をコッキングする動作が見られません。しかし、同じポジションで、背中は完全にターゲット方向に向いているのがわかります。これは、前腕から先で何かをするのではなく、体のコイル(捻転差)でパワーを引き出そうとした結果です。
この大きな捻転差によって、トップではややオーバースウィングになっていますが、ダウンスウィングではクラブがいいポジションに収まり、振り遅れ感がないので、とくにネガティブな要因にはなっていないと言えるでしょう。
次に、飛球線後方からクラブの動きを見てみましょう。
基本的に、ヘッドが大きく、重心距離の長い現代のクラブは、いったんフェースが開くとスクェアに戻りにくい=球がつかまりにくいという特徴があります。そのため、近年ではストロンググリップで握り、フェースの開閉を抑えて、フェースをシャットに(地面に向けて)上げていく選手が増えました。
しかし、小祝選手を見ると、ややウィークなグリップで握り、テークバックでフェースを開きながら上げているのがわかります。
ハーフウェイバック(シャフトが地面と平行になるポジション)でフェースが体の正面に向いているのがその証拠。アマチュアゴルファーであれば、「球がつかまらない」と感じてしまいそうなフェース向きですが、小祝選手にとってはこれが気持ちのいい動きなのでしょう。このポジションを見ただけでも、彼女が球をつかまえることに苦労をしてこなかった。もしくは、もともと球がつかまりやすかった、ということが推測できます。
いずれにしても、小祝選手のスウィングは、最近では珍しい、ややウィークなスクェアグリップでドローを打つためのスウィングと言えます。ですから、スライサーやストロンググリップの人がマネをすると球がつかまらなくなるので注意してください。
逆に、左手の握り方が近い人や、左腕の自然なローテーションを使ってドローを打ちたい人が、体の使い方やクラブの動きなどを参考にすると、よい結果につながるのではないでしょうか。