ミスの傾向がどんな弾道なのかによってメカニズムも改善法も大きく異なると小島慶太プロ。小島はプロテスト合格後にツアー参戦したあとティーチングプロ資格、トラックマンマスター、TPIレベル3、タイトリストフィッテイングマスターなどスウィング面と計測器、フィッテイングまでの幅広い資格を取得した異色のプロ。ここでは左へのミスの中でも代表的な、真っすぐに出て左へと曲がる弾道を解説してもらうことにした。
低い弾道で真っすぐに打ち出され左へと曲がる軽い”チーピン”。なぜチーピンと呼ばれるのかは麻雀パイのピンズの7、つまり「チーピン」と弾道が似ているからという説が有力だが、クラブフェースの向きや軌道はどうなっているのだろうか(画像A)。
「まずデータからこの弾道のメカニズムを説明すると、左に出て左に曲がるチーピンは入射角がダウンブローになるケースが多いのですがこの軽いチーピンの場合、入射角はかなりのアッパー軌道になっています。アッパー軌道が多い女子プロの平均が3度から4度と言われる中で、このデータのような7度のアッパー軌道はインパクト前後でフェースが返ってしまう原因にもなっています。ドライバーの場合、クラブ軌道の最下点を過ぎてからインパクトを迎えるのが理想ですが、少し最下点が手前過ぎる状態です」(小島慶太プロ、以下同)
ではこのミスが出るスウィングの傾向を教えてもらおう(画像B)。
「スタンスも体の向きも右を向いて構えていて、テークバックからインサイドに引きターゲットよりも右方向に振ろうとする動きが強すぎます。左にミスすることを嫌がることで右に振り過ぎているケースが多いのではないでしょうか」
なるほど、とくにドライバーの場合は「右が嫌なら右に振れ、左が嫌なら左に振れ」と言われるようにターゲットラインよりも右に振ればインサイドアウト軌道になり左に曲がる弾道に、左に振ればアウトサイドイン軌道になり右に曲がる弾道になるというのは理屈では理解しているつもりだが……。
入射角がアッパー過ぎてクラブパスもインサイドアウト過ぎるスウィングの傾向を修正するには、まずはスウィングダイレクション(スウィング軌道の向いている方向)を修正したいと小島プロ。
「このタイプはターゲットラインよりも右を向いたアドレスに加え、ボールの位置も左に置きすぎている傾向があります。ですからスタンスはターゲットに平行、ボールは左わきの下くらいに置くようにします。それだけでもスウィングダイレクションは変わってきます。ですが、左に曲がることを嫌がるタイプは左に振り抜くことが苦手なのでヘッドカバーを使ったドリルを提案します!」
スタンスの向きとボール位置を修正して構えたら、大きなヘッドカバーをボールの右手前と左前に置くことで視覚的にインサイドアウトの軌道を弱め、入射角も整える効果が期待できるという。
強すぎるインサイドアウト軌道が修正されれば自ずとアッパー過ぎる入射角も許容範囲の3度前後におさまってくると小島プロ。左に振り抜くことを怖がらずにドリルで試してみよう!
取材協力/4plus フィッティングスタジオ&ゴルフサロン