PGAツアーのトップ選手の一人であり、現在世界ランク5位に位置しているジャスティン・トーマス。そんなトーマスのスウィングを、プロコーチ・内藤雄士が解説!

近年、PGAツアーの上位選手には、トップがコンパクトめのプレーヤーが増えてきました。超コンパクトトップのジョン・ラームやトニー・フィナウなどは極端な例かもしれませんが、ひと昔前に比べると、アップライトで高いトップの選手が少なくなったのは確かでしょう。

基本的に、トップがコンパクトになれば、落下速度が使えなくなるぶんスピードは落ちますが、クラブをスウィングプレーンに乗せやすくなるので、正確性、反復性がアップします。つまり、トップがコンパクトな選手ほど、スピードよりもミート率を重視しているのです。

この傾向は、弾道解析器の進化によるものが大きいと考えられます。以前は、飛距離を伸ばす=ヘッドスピードを上げるという考え方が一般的でした。この時代には、ヘッドスピードを上げるために、トップを高く大きくする選手も多く見られたのです。

それが、弾道解析器の出現によって、ヘッドスピードを上げなくても、適正な入射角度、スピン量、打ち出し角を確保し、ミート率を上げることで飛距離を伸ばせるということがわかりました。その結果、コンパクトめのトップにしてミート率を上げようと考える選手が増えたというわけです。

とはいえ、アマチュアにもコンパクトなトップがおすすめなのかというと、そうとは言い切れません。トップを小さくすれば、確実にヘッドスピードが落ちます。それでもプロのようにミート率を上げられればよいのですが、それができないと飛距離を大きくロスしかねないからです。アマチュアゴルファーの場合、かなりパワーのある人でない限り、トップをコンパクトにするメリットより、デメリットのほうが大きいと、私は思うのです。

そこで、お手本にしてもらいたいのがジャスティン・トーマスです。現在のPGAツアーでは、トップで左腕が右肩あたりに重なる選手が一般的。でも、トーマスは、トップで左腕が右肩と右耳の間に収まっています。一般男性プレーヤーであれば、このくらいトップに高さを出して落下速度を利用したほうが、飛距離を確保しやすいでしょう。

画像: トップで左腕が右肩と右耳の間で収まる、手元が高いトーマスのトップ位置は、飛距離がほしいアマチュアにもオススメだという

トップで左腕が右肩と右耳の間で収まる、手元が高いトーマスのトップ位置は、飛距離がほしいアマチュアにもオススメだという

ただし、トップが高くなるほど、クラブの入射角度が鋭角になりやすく、体の開きが早いとアウトサイドインの軌道になりやすいという危険もあります。これを防ぐためには、下半身から切り返す動きが必須。上体の力でクラブを下ろすのではなく、左足への踏み込みをきっかけに、下半身のリードでダウンスウィングするのです。

画像: 下半身リードでクラブを下ろすことで、高いトップ位置からでも入射角が鋭角になり過ぎていない

下半身リードでクラブを下ろすことで、高いトップ位置からでも入射角が鋭角になり過ぎていない

トーマスのダウンスウィングを見ると、お腹が目標に向くほど下半身が先行し、その捻転差がほどかれないままインパクトを迎えていることがわかります。

身長177.8センチ、体重72.6キロと、PGAツアーのなかでは細身の彼が、300ヤード超のドライバーショットを放つことができるのは、落下速度を活かした高いトップと、切り返しの捻転差。そして、地面反力を利用した、インパクトで両足がめくれるほどのフットワークの賜物なのです。

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