青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務め、昨シーズン1勝しキャリアハイへと導いた大西翔太コーチ。B・デシャンボーやアメリカのインストラクターが参考にしているという「ザ・ゴルフィングマシーン」を学びに大庭可南太インストラクターに弟子入りした、その後編をお届け。

前傾角が崩れるとミスの原因になる

青木瀬令奈のコーチ兼キャディとして2勝目を挙げ、初の海外メジャー「AIG女子オープン」にも参戦しした大西翔太コーチ。現地で見た海外のプレーヤーを「日本の選手に比べて、スウィングのクセが強く、そのクセをアドバンテージにしたプレースタイルで戦っている」と感じたという。そこでスウィングのクセを選手のアドバンテージに進化させるため、アメリカで50年以上前に発表された「ザ・ゴルフィングマシーン」を研究しレッスン活動もする大庭可南太のもとを訪れた。そしてさまざまな意見交換をする中で前傾角が崩れるとミスの原因になると同意した。

画像: 50年以上前にアメリカで発表された「ザ・ゴルフィングマシーン」の解釈に向き合いレッスン活動もする大庭可南太(左)のもとを訪れ、学びを得た大西翔太コーチ(右)

50年以上前にアメリカで発表された「ザ・ゴルフィングマシーン」の解釈に向き合いレッスン活動もする大庭可南太(左)のもとを訪れ、学びを得た大西翔太コーチ(右)

「トップからインパクトにかけて、アドレス時のお尻のラインから離れて前傾角が崩れると、ダウンで手の通り道が狭くなりますよね。そうするとリリースが早くなってフェース面の管理も難しくなりますね」(大西翔太コーチ)

「ザ・ゴルフィングマシーン」ではダウンスウィングで右腰が手の通り道を邪魔しないことを「ヒップクリア」と呼び50年以上も前から推奨してきているという。もちろんインパクトでアドレス時のお尻のラインから離れながらも結果を残しているプロも存在するが、PGAツアー選手の多くは「ヒップクリア」できている大庭は続ける。

画像: 画像A 大西翔太コーチのスウィングはアドレスで作った前傾角をキープしダウンで手の通り道が確保されていることでしっかり振ってもショットの安定性が高い

画像A 大西翔太コーチのスウィングはアドレスで作った前傾角をキープしダウンで手の通り道が確保されていることでしっかり振ってもショットの安定性が高い

「松山英樹選手や、コリン・モリカワ、ダスティン・ジョンソンなど多くのトッププレーヤーは『ヒップクリア』が実現できています。しっかり振っても手の通り道が確保されているので飛距離の面でも優位に立てていると思います。じつは大西翔太コーチも『ヒップクリア』できているので飛距離は出るんではないでしょうか」(大庭)

確かに大西コーチのドライバーのヘッドスピードは50m/sを越え300ヤードを飛ばす飛ばし屋の部類だ。下半身の使い方を大庭に聞かれると「テークバックでは右足かかと、切り返しでは左のつま先に加重するように意識しています」と大西。

アマチュアゴルファーの場合は、飛ばそうとし過ぎてしまい振り急ぎテークバックでしっかりと右足かかとに加重されずに切り返してしまうケースや、左への体重移動を意識することで右のひざが前に出てしまうなど、力を出そうとすることで前傾角が崩れてしまうという。

画像: 画像B ダウンで前傾角が崩れて体起き上がるとリリースが早くなる(左)、前傾角がキープされるとハンドファーストで右サイドの側屈が入りインパクトゾーンは長くゆるやかになる(右)

画像B ダウンで前傾角が崩れて体起き上がるとリリースが早くなる(左)、前傾角がキープされるとハンドファーストで右サイドの側屈が入りインパクトゾーンは長くゆるやかになる(右)

そこで効果的なドリルを教えてもらった。画像Bでは壁の代わりにバランスボールを使っているが、実際には壁や椅子、キャディバッグなどにお尻をつけて振るドリルだが気をつけるポイントがあると大庭。

「アドレスではお尻を壁から数センチ離して構えます。そこからテークバックで右のお尻が壁にタッチするようにトップを作ります。そのとき壁に寄りかかるのではなく、右のお尻を後ろに引くようにテークバックし壁にタッチさせます。ダウンスウィングでは右のお尻を壁につけたまま左のお尻を引くように切り返します。そうするとインパクトでは前傾が深くなり右の側屈が入る感覚がつかめるはずです」(大庭)

画像: 画像C テークバックでは右のお尻を引いて壁に押し付けるようにし(左)、ダウンでは左のお尻を引いて壁に押し付けるよう(右)に意識することで、前傾角をキープし、手の通り道を確保できる

画像C テークバックでは右のお尻を引いて壁に押し付けるようにし(左)、ダウンでは左のお尻を引いて壁に押し付けるよう(右)に意識することで、前傾角をキープし、手の通り道を確保できる

ダウンで前傾した骨盤を起こしながら前傾角が浅くなるとボールに届かなくなってしまう。そのため手首を伸ばしてリリースのタイミングを早くすることでボールに届かせる動きが必要になってくる。しかし、骨盤の前傾をキープさせたままインパクトを迎えようとすると、体とボールは近くなるからリリースが早いとダフってしまうのでリリースが遅くなる。もう一つ、体が起き上がらないことで右サイドの側屈も入るようなり長くゆるやかなインパクトゾーンを作ることにもつながると大庭はいう。

「骨盤の前傾をキープしたヒップクリアはしっかり振っても、ドローでもフェードでもスウィングの安定性を高め、フェースターンの管理を高めます」(大庭可南太)

画像: 画像D コリン・モリカワのスウィングを見ると前傾角をキープすることで、タメを作りハンドファーストで右サイドの側屈が入り長くてゆるやかなインパクトゾーンを実現している

画像D コリン・モリカワのスウィングを見ると前傾角をキープすることで、タメを作りハンドファーストで右サイドの側屈が入り長くてゆるやかなインパクトゾーンを実現している

前傾角が崩れてショットが安定しない人は、ドリルを試してみてはいかがだろうか。意識して練習するだけでも変わってくるはずだ。

取材協力/インドアゴルフレンジKz亀戸店

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