ディフェンディングチャンピオンのティレル・ハットンが「これだけ風が吹く日は中止にしてくれると有り難い」というほどの強風の中、ホブランは8アンダー、64をマークし首位と1打差の暫定2位の好発進を切った。
「ピンの位置がトリッキーだった。こういう(強風の)日は方向性より距離感の方が大事。左右は多少ブレても奥や手前に残し過ぎないマネジメントを心がけた」。3番で12メートル、15番でも10メートル弱のロングパットを沈め「こういう日もある。ここのグリーンとは相性がいいみたいだ」と相好を崩した。
雪深い真冬のノルウェーでクリスマス休暇を過ごしたあとハワイに飛び22年初戦のセントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズに挑んのだが、そこで予想外のアクシデントに見舞われていた。キャディバッグが届かなかったのだ。
急遽練習ラウンドは帯同キャディが持参したクラブを使用し本番直前に待望のバッグがハワイに到着した。本人がカパルア(マウイ島)に到着した6日後のことである。ところが喜び勇んで荷を解いてみるとなんとドライバーのヘッドがネックの部分からポッキリと折れていたのだ。
「キャディバッグはシアトルあたりで5泊していたらしい。こうなっても驚かない」と達観したコメントをSNSに投稿したホブランだが笑ってばかりはいられない。結局セントリーでは38人中30位に終わってしまった。
クラブにまつわるアクシデントはこれだけではない。昨年のマヤコバではクラブテスト中にホブランのクラブを使ったダニー・リーがドライバーを破損させ、急遽同じクラブのスペアを持っていたジェイムス・ハーンに借りてプレー。一大事にも動揺することなく連覇を達成している。弘法筆を択ばず!? ホブランは逆境に強い。
いっぽうライバル、モリカワは苦戦。スタートホールこそ2打目がカップインしそうなスーパーショットを見せバーディを奪ったがその後が続かず首位と10打差の1オーバー、73。昨季ヨーロッパの年間王者に輝いている全英オープンチャンピオンはアブダビの成績次第で世界ランク1位浮上の可能性も。ナンバー1奪還のチャンスは3度目だがそういうシチュエーションになるとなぜか成績が振るわず足踏みが続いている。
今回もアブダビの裏で開催されている米ツアーのアメリカンエキスプレス初日、ナンバー1のジョン・ラームは66とまずまずの滑り出しでモリカワにとっては不利な状況だ。
19年秋にプロデビューした同期のホブランとモリカワ。アブダビ初日は明暗を分けたが、ライバル伝説は今後も続きそうだ。