ギアオタク店長、クラブフィッターの小倉です。さて今回は、このコラムでもたびたび話題にしている、ウッドとアイアンの間を埋める「つなぎのクラブ」についてです。現在、5番ウッドから6番アイアンの間に位置するクラブは、ゴルファーのパワーやスタイル、スウィングスキル、得意なクラブによってさまざまな組み合わせが考えられます。
この「つなぎのクラブ」をしっかり吟味して選んでいるゴルファーとなんとなく選んでしまっているゴルファーでは、安定感が大きく違ってきます。ウッド全般が得意なら「ショートウッド」や「ウッド型UT」。アイアンが得意なら、「アイアン型UT」や「飛び系アイアンの長い番手」など、得意なジャンルのクラブから選ぶのは定石ですが、今日はちょっと違った視点で「つなぎのクラブ」を見ていきたいと思います。
例えば、パワーヒッターの場合。ティーショットで刻むクラブがこのゾーンに入ってきます。反対にパワーに自信がないゴルファーの場合、ちょっと長めのパー4では、「つなぎのクラブ」でグリーンを狙うことが非常に多くなります。なくてもプレーはできる「つなぎのクラブ」ですが、ちょっと考えて選べば、グッとプレーを快適にすることができるはずです。今回は、勝手にゴルファーの設定を作り、その設定に合わせたつなぎクラブの選び方を勝手に提案してみるとしましょう。
まずヘッドスピードがドライバーで43m/s以上出せるゴルファーは、ティーショットで使える1本があると便利です。ここでオススメしたいのが「飛び系アイアンの長い番手」。「アイアン型UT」よりミートしやすく、狙ったところに打ち出しやすいモデルが多いです。欲しい飛距離にもよりますが、「ピン G710」の4番や、「タイトリスト T300」の4番なんかはオススメですね。「アイアン型UT」が問題なく打てる方ならそれでもいいですが、性能を追求しすぎて、意外と振りにくいと感じるゴルファーも少なくありません。アイアンの枠の中で最大限飛距離とやさしさを追求した「飛び系アイアン」のほうが意外とやさしく飛ばせたりするんですよ。
そこまでヘッドスピードないけどティーショット用が欲しいという方は、FP値が小さい、つまり出っ歯具合を抑えた「ウッド型UT」がおすすめ。アイアンに近い感覚で打て、打ち出し方向が定まりやすいです。キャロウェイ「EPICスーパーハイブリッド」や「ローグST MAX ユーティリティ」なんかがいいですね。
ボールを上げたいゴルファーは、ショートウッド一択です。やはり重心が深く低く作れるウッド系のほうがボールを高く打ち出しやすくなります。今回の「ローグST MAX」のFWは7番(21度)、9番(23度)、11番(25度)までラインナップされており、ロングアイアンの域までもウッドでカバーできそうです。
反対にボールを低く抑えたいなら、「アイアン型UT」がおすすめ。ミズノの「FLI-HI」やスリクソンの「Z U85」がいい出来です。アイアン型が苦手という方は、アスリート向けの「ウッド型UT」がいいでしょう。ただそのまま使うとつかまりを抑えた設計になっているものが多く、スライスが出やすいゴルファーにとってはしんどい可能性があります。そこでフェース角やロフト角を調整できる弾道調整機能付きのタイプにすれば多少ですが、つかまり性能を高めることができます。タイトリストの「TSi2 UT」、「TSi3 UT」はどちらも弾道調整機能がついています。
大前提として、クラブ長が短くなるごとに総重量が重くなるよう、ウェートフローを考えてシャフトの重量やモデルを選ぶ必要がありますが、それは、おもにミート率の向上のため。狙った弾道を打つには、ヘッドの性能を吟味する必要があるのです。
「つなぎのクラブ」はたくさんのジャンルのクラブが入り混じるところ、選択肢が多いぶん、明確な狙いがないとズバッとハマるクラブは手に入りません。
みなさんは160ヤードから200ヤード。打ちたい弾道の具体的なイメージをもっていますか?