「i525」はちょい飛び系なのにコントロール性も高い
ピンの2022年新製品「i525」の発表会に行ってきました。前作の「i500」からブレード形状、7番のロフト29度などの要素は引き継ぎながらピンの新製品らしく前作を越える性能を備えているはずなので試打するのが楽しみでした。
見た目の形状はオーソドックスなブレードタイプで「i210」にも似た形状でスッキリとしています。ソース形状も「i210」同様でトウ側が幅広くネック側は狭くなっています。ネック部分が地面や芝に引っかかって左へ打出すリスクを最小限にし、5番では6度と少なくPWでは12度という適度なバウンス(7番で8度)もあることで、よほど硬い地面でない限りボールコンタクトを容易にしてくれるはずです。
ロングアイアンでは大きめにショートアイアンではストレートに近くなるように番手別にオフセットがついていているので、ショートアイアンでは弾道の高さや距離をコントロールしやすい印象です。ブレード長もロングアイアンに向かって長くなっているので、シャープ過ぎないだけでなく重心距離も長くなることでドライバーからショートアイアンへと重心距離がフローし、長いクラブから短いクラブへと振り心地を統一するように考えられています。
テクノロジーの部分ではマレージングフェースのたわみを最大限に利用するためソールとフェースのつなぎ目を薄くする工夫がなされ、初速性能の向上と弾道の高さを出すことに成功しているといいます。もう一つ忘れてはならないのがピンお得意の慣性モーメントの増大化によって寛容性を高めるという設計思想です。「i525」ではトゥ側とヒール側にウェートを装着し左右の慣性モーメントを上げミスヒットの際のヘッドのブレや飛距離や方向性のブレを抑えると同時にフェース上下の慣性モーメントも増大させているというので、ティーアップするパー3のティーショットやラフからやショットでも打点のズレによって飛距離が失われることも防いでいるといいます。
実際に打ってみると、ロフト44度のPWではレンジボールを使ってトラックマンのデータを見るとキャリー125ヤード前後、スピン量7000rpm前後、弾道の高さは25ft前後という数値でした。
ロフト29度の7番ではキャリーは168ヤード前後、スピン量5000rpm前後、弾道の高さ26ft前後でした。PWと7番をコースボールで打ったと想像すると、どちらも高さはもう一段上がり、飛距離も期待できそうです。打感は前作よりも中空感が薄れていてボールの重さや食いつきを感じることができました。実際に距離を打ち分けるように試打してみると、大きな左右慣性モーメントの効果とショートアイアンに向けてグース度合いが少なくなることで積極的にはフェースターンを行わない打ち方がやりやすかった印象です。
スペック表を見ていて気付いたのはロフト構成です。番手間のロフト差をフローさせているので、ショートアイアンで飛び過ぎるようなことはなさそうです。
番手 | 5番 | 6番 | 7番 | 8番 | 9番 | PW | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ロフト(度) | 22.5 | 25.5 | 29 | 33.5 | 38.5 | 44 | |||||
ロフト差(度) | 3 | 3.5 | 4.5 | 5 | 5.5 |
アイアンはひとつの番手で方向性を保ちながら、距離を打ち分けられたりライによっての距離の増減を知り、本当の意味で手に馴染んでこそスコアに結びついてくるものです。そういう意味でもプロや上級者には塊り感のある打感が好まれることも理解できます。中空構造で飛距離と高さをを稼ぎながら形状はオーソドックスなブレード形状という「i525」は、顔や形状に好みがあり飛距離が落ちてきたなと感じているゴルファーには試して欲しいモデルだと言えます。ただし、このカテゴリーはテーラーメイド「P790」、タイトリスト「T100S」、「T200」など競合するモデルがいくつもあります。番手ごとの距離、打感や顔つきなどじっくり試打してみることをオススメします。