男女限らず、海外のツアーを見ると日本製のクラブを使っている選手が多くいる。女子のトップ選手である。女子世界ランク3位のリディア・コが選んだのは……
アメリカ女子ツアー、「LPGAヒルトン・グランド・バケーション」で、PXGとの契約を終えたばかりのリディア・コのアイアンが、日本の新興ブランド、「プロトコンセプト」になっていた。ドライバーはタイトリスト「TSi3」、ウェッジは「ボーケイ」だ。
「プロトコンセプト」とは、2019年に立ち上げられた日本のパーツ系メーカーで、国内でもまだそれほど知名度は高くないが、アイアンやウェッジを中心にギアマニアの関心が高まっている。というのも、契約外で海外の選手が選ぶケースが増えているためだ。
また男子でもクリス・カークがウェッジを使用しているという情報もある。最近では、「ZOZOチャンピオンシップ」でひさびさの試合出場となった、今田竜二がマッスルバックのアイアンを使用していた。いずれも契約外での使用で、日本の小規模メーカーでありながら、むしろ海外のプロから先に評価が高まっているのは興味深い現象だ。
今回のリディア・コもそうしたケースのひとつと言えそうだが、選手としての実績という点では別格の感がある。アマチュア時代にはタイトルを総なめにし、史上最年少の17歳9ヶ月で世界ランキング1位。天才少女の名をほしいままにした。リオ五輪ゴルフ競技では銀メダル。昨年の東京では、稲見萌寧と銀メダル争いのプレーオフを戦ったのは記憶に新しい。
その強さの絶頂を迎えていた2017年に、アメリカの新興メーカーであるPXGと電撃的に契約したのもよく知られている。以来、PXGの看板選手として活躍していたが、コーチの変更と道具の変更が重なったこともあってか、成績は下降。昨年あたりから、ようやくかつての強さを取り戻してきた。
リディア・コほどの選手が、今後もクラブ契約フリーを貫くとは考えにくいが、ようやく選手として復調してきたこのタイミングで、内外でほとんど知名度のないクラブを選んだ事実は、よほどその機能に満足していることが伺える。
彼女が選んでいるのは、ポケットキャビティで溶接フェースを採用している「C05」(#7-9)と少し大ぶりの「C07」(#6)。4機種あるアイアンが、コンボしやすいのが同社のアイアンの特徴だという。
日本の小規模メーカーということで言えば、パトリック・リードがグラインドワークス、エイブラハム・アンサーが三浦技研のアイアンを愛用しているのは有名だ。今年になって、リードはPXGと、アンサーはキャロウェイとクラブ契約を交わしたが、現時点ではアイアンはそのまま使用していて、それだけ気に入っていることが伺える。
先だっては、ブルックス・ケプカが「スリクソンZX7」アイアンの使用をきっかけにダンロップと契約し、契約の有無にかかわらず、ミズノのアイアンを愛用する選手も多い。アメリカのギアマニアのなかには、日本のフォージドアイアンについて、驚くほど知識がある人も少なくない。日本メーカーのアイアン作りを好むゴルファーは、海外にも多いのだ。