ミスの傾向がどんな弾道なのかによってメカニズムも改善法も大きく異なると小島慶太プロ。小島はプロテスト合格後にツアー参戦したあとティーチングプロ資格、トラックマンマスター、TPIレベル3、タイトリストフィッテイングスペシャリストなどスウィング面と計測器、フィッテイングまでの幅広い資格を取得した異色のプロ。ここではショートアイアンでロフト通りの距離が出せない弾道を解説してもらうことにした。
ロフト32度の7番アイアンで打ったものの飛距離はキャリー131ヤード、スピン量は約6400rpmとスピン量は多め。クラブの軌道や入射角は悪くないものの弱い弾道で飛距離が出せずに少し右に流れるような弾道だ。小島のタイトリストでの10年のフィッター経験の中で、じつはこのようにアイアンの飛距離不足に悩むアマチュアゴルファーが多いという(画像A)。
「ヘッドスピードやボール初速にもよりますがロフト32度の7番アイアンであれば、一般的なウレタンカバーのスピン系のボールで打つとスピン量は5500rpm前後なのですが、クラブ軌道は1.2度のインサイドアウトなので、ほぼストレートな軌道なのにフェースが開いて当たっているぶんだけスピン量は多めで飛距離もロスしてしまいます」(小島慶太プロ、以下同)
ではこのミスが出るスウィングの傾向を教えてもらおう(画像B)
「このタイプは左手首が甲側に折れてしまうことでフェースが開いてしまうケースが多いです。テークバックから左手首を甲側に折りながらトップに向かい、インパクトでもフェースが開いたままロフトが寝て当たっているので、飛ばなく右に弱々しい弾道になります」
グリップをしっかり握り過ぎてしまうと左手首が甲側に折れやすくなるため、握る強さや手首の柔らかさを感じたいと小島。
「手首の柔らかさを保ち、グリップを握る強さを少しゆるめること切り返しでクラブヘッドの重さでクラブが倒れ、プレーンに乗ります。そしてインパクトゾーンでは左手首がフラットになることでフェースがスクェアに当たることを目指しましょう」
そこで正しい手首の動きを体感できる、「オートバイドリル」(モーターサイクルドリル)を教えてもらった。
「オートバイのスロットルを回す動きを取り入れて、左手首を甲側に折る、手のひら側に折る、を繰り返します。左手だけでなく両手で握っても同じ動きをやってみてください。フェースを開く、閉じる動きはこの手首の動かし方と連動しています。グリップを握る強さが強すぎると動かしにくいので適正な握る強さも感じられるはずです」
「オートバイドリル」でフェースが開かずにインパクトできる動きは確認できたが、スウィング中のどのあたりでこの手首の動きを取り入れたらいいのだろうか。
「ダウンスウィングでこの動作をやろうとするのではなく、トップに上がって切り返す前にこの動きを取り入れるような意識でやってみましょう。クラブを上げてオートバイドリルの動きを取り入れてダウンに入るといったタイミングです。切り返しで急がずにゆっくりと振り下ろしたいので、例えば7番アイアンで100ヤード程度を飛ばすくらいのスウィング強度で感覚をつかみ、徐々にスウィングスピードを上げていくことがポイントです」
フェースを返そうとして右手を強く返してしまったり、上半身をかぶせるような動きでフェースを左に向けるような動きも、このオートバイドリルの動きを取り入れることで防ぐことができて体の動きまで修正することができそうだ。
取材協力/4plus フィッティングスタジオ&ゴルフサロン