SM8よりもフィーリングを向上させたSM9
ツアープロの要望に応えるべく進化を止めないボーケイ・デザインが「SM9」をリリース。前作「SM8」で重心を前にすることにより得られた優位性をさらに進化させ、距離感や弾道の高さ、そしてスピン量などプレーヤーが感じるフィーリング面を重視し開発。ロフトとソール形状のラインナップも増やしての登場となった。
前作の「SM8」は、大きく重心位置を変えたことにより操作性がアップし、多くのツアー選手が愛用していた。そのため「SM9」が出てもすぐにチェンジすることはないだろう予想していたが、ソニーオープンでローンチされると続々と「SM9」にスイッチしているという。「SM8」からどれだけ進化したのだろうか? 具体的には、重心位置の最適化とロフトによって2種類の新しい溝、精密加工によるよりフラットなフェース面から生み出されるスピン性能の向上が挙げられるという。
ボーケイウェッジの哲学はスコアに直結するクラブとして、さまざまなショットに対応できる多様性、飛距離精度、スピン性能を重視し、プレーヤーのヘッドスピードや入射角などの打ち出し条件に合わせてロフトやバウンス形状を組み合わせることでスコアアップにつなげるというものだ。
その哲学に基づき46度から62度までの9種類のロフトに6種類のバウンス形状で23種類ものラインナップを揃えている。PWを含めたアイアンのロフトがストロング化していることで従来のアプローチウェッジとサンドウェッジの2本体制から、アプローチウェッジよりもロフトの立ったギャップウェッジを加えた3本体制にするケースにもしっかりと対応できる。
今回の試打イベントでは、普段はツアーバンに乗り試合会場で選手をサポートするタイトリストツアーレップの岩国誠之(しげゆき)氏が試打者としてデモンストレーションをおこなった。ジュニア時代には同じ年の池田勇太と競っていたというからウェッジの技術はかなり高いものがあった。
その中で同じロフトでもバウンス形状の違うモデルを打ち比べてもらうと、打ち出された弾道には高さやスピンの入り方など、ハッキリと違いが出ていた。
新しくなった溝や精密加工のフェース面のスピン性能にプラスして、バックフェースのトウ側上部に厚みを持たせたことで、ロブショットなどフェースを開いて打つショットの際に発生する余計な振動を抑え、距離や方向性を安定させるという。実打した後のフェース上部にあるボールの跡を見ると、確かにその効果もありそうだと納得させられた。
気になるのは、自分にとってのロフトとバウンス選びになるところ。PWのロフトが48度が主流だった時代は52度と58度が当たり前であった。しかし、近年のストロングロフト化によりPWは44度や45度が主流になりつつあると「48-52-56」や「50-54-58」などさまざまな組み合わせが考えられる。その中でキャリーで考えた飛距離の階段を自分なりに作ることがロフト選びのコツとなるだろう。
ちなみにPGAツアーでは「52-56-60」の組み合わせが主流で56度を12度から14度程度のハイバウンスにする選手が多いんだとか。実際にZOZOチャンピオンシップの際にコリン・モリカワにウェッジのロフト設定と使い分けを聞くと「ピン手間からはハイバウンスの56度でピン横やシビアな状況からは60度のローバウンスを使ってるよ」と答えていた。
確かにハイバウンスの56度があれば、ふかふかのバンカーや距離のあるバンカーショット、冬芝の薄いライやボールが浮いているライでもバウンスが多いことによる効果を生かして楽に打てるだろうし、ピンが近いバンカーやロブショットでは60度が威力を発揮するだろう。そういう意味では54、56、58度辺りのハイバウンスを1本入れておくとグリーン周りで大きな武器になるかもしれない。
プロや上級者においてはグリーンを外した際にパーで切り抜けることはスコアメークのポイントになるし、アベレージゴルファーにとってもグリーン周りから確実に乗せて2パットで終えられ、時には1パットでホールアウトできれくらい寄せられたら間違いなくスコアアップにつながるはずだ。スコアに直結するウェッジこそ自分にマッチしたクラブ選びが重要なのかもしれない。